『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第18話「ハチャメチャ動物園」(1984年2月5日放送 脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)

【ストーリー】

 ペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)とネギ太(高橋利安)はチャンネル争い。ナス夫(佐渡稔)が一喝する。

ナス夫「あのふたりには困ったもんだ。譲り合いの美しさをちっとも知らん」

トマト「少し厳しくしなくちゃね」

 そう言ったそばから、ナス夫とトマト(東啓子)もチャンネル争いでつかみ合いに。

 いらだったペットントンが電柱を蹴ると、電柱が倒れる。ジープを蹴ると、無人ジープが勝手に動き出す。ジープに乗ったペットントンは、そのまま爆走。東武動物公園にたどり着く。

 ペットントンは、動物と間違えられて飼育係に捕まった。野原院長(奥村公延)が予防注射のために動物園を訪れていて、ペットントン宇宙生物だと説明してくれる。

 

 動物園では怪しい冒険家(花王おさむ)がテントを張り、動物にライフルを向けたり、投げ縄で捕獲しようとしたりしていた。

院長「その変な冒険家は必ずこのペットントンが捕まえます」

 ペットントンは野原院長と園長(里木佐甫良)に強引に頼まれてしまう。だがペットントンと出会った少女は、「この人、悪い人じゃないわよ」と冒険家を擁護する。

 

 ペットントンは冒険家を捕まえるが、さっきの少女が逃がしてしまう。少女は冒険家の娘だった。冒険家はアフリカで猛獣狩りをするのが夢だったが、金がないので動物園で猛獣狩りごっこをしているという。少女は、工場で働いてひとりで自分を育ててくれた父親に、夢の猛獣狩りごっこをさせてあげたいのだった。

 

 冒険家は、飼育係に追いつめられていた。ペットントンはタイムステッキを使って、冒険家を救出。

 

 友だちの輪のアイディアで、ペットントンは猛獣になる羽目に。畑家の庭では、猛獣になりきったペットントンと冒険家のバトルが繰りひろげられていた。そこへジャモラー(声:八代駿)が乱入。ますます張り切る冒険家だった。

【感想】

 浦沢義雄脚本に頻出するのが、わけのわからない主張(こだわり)を振りかざす怪人である(『美少女仮面ポワトリン』〈1990〉に毎回登場する敵役たちは、過半数がその類い)。今回の冒険家は動物園にテントを張り、いい歳して猛獣狩りごっこに明け暮れているという相当な危険人物だけれども、別に変身するわけでもないのでインパクトはそれほどでもない(のちの浦沢脚本の萌芽的なものかもしれない)。

 

 『相棒』(2013)など多数のテレビ・舞台に出演している花王おさむ氏が冒険家役。筆者は舞台『夜からの声』(2004)を観劇して初めて花王氏を知ったのだが、そのあたりの時期から2000年代後半の時期にかけて花王氏の露出は急増した感がある。

 動物園園長役の里木佐甫良氏は多数の作品に登場したバイプレーヤーで、特撮では東映の『仮面ライダー』(1971)や『秘密戦隊ゴレンジャー』(1977)、円谷プロの『ウルトラマンレオ』(1975)のゲスト出演がある。伊丹十三監督作品の常連でもあり、野原院長役の奥村公延氏とはこの年のヒット作『お葬式』(1984)にも揃って登場。

 

 『仮面ライダー剣』(2004)、『ウルトラマンネクサス』(2004)など多数の特撮作品にロケ地として使われた東武動物公園が登場。看板まで映っており、関係者はこんな奇人が園内をうろついている設定だと判ってOKしたのだろうか?

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