第7話「SOS!セロリの誕生日」(1983年11月13日放送 脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)
【ストーリー】
公園でひとり、ラジオ体操をするペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)。だらだら汗を流す。
朝からセロリ(斎藤晴彦)は、「おはよう、トマトさん」と妙に機嫌がいい。
セロリ「トマトさん、きょうのお味噌汁…とてもおいしい!」
思わずずっこけるトマト(東啓子)とナス夫(佐渡稔)。 そしてきょうは何の日?と問うが、みな判らない。ペットントンは向かいのおじさん(木村修)などに、きょうは何の日か訊いて回ったが、やはりみな判らない。
理髪店で上機嫌のセロリ。
セロリ「きょうは私の誕生日」
美容師「それで先ほどから嬉しそうに」
セロリ「見える?」
美容師「愉しみですね」
セロリ「何が?」
美容師「お誕生日のプレゼント」
セロリはコンピュータ(声:高坂真琴)にみんながどんなプレゼントをくれるか予想させるが、ディスプレイにはプレゼントの画像の前にバッテンマークが。コンピュータはみながそのことを忘れているからプレゼントはないと断言。
コンピュータ「セロリキラワレモノ、セロリキラワレモノ、セロリキラワレモノ」
セロリの画像の前にもバッテンマークが。
セロリ「おだまり!」
ネギ太(高橋利安)と小百合(川口智子)はいつもの帰り道で、
ネギ太「小百合ちゃんちで宿題やっていい?」
小百合「いいけど、どうして?」
ネギ太「うち、おばあちゃんいるじゃない?」
小百合「うちだって、おじいちゃんいるわよ」
ネギ太「うちのおばあちゃん、普通じゃないから」
小百合「そういえばそうね!じゃ、いらっしゃい」
電話ボックスの中で聞いていたセロリは激怒。
帰宅したセロリは死んだ夫の遺影の前で悲しみに暮れる。
セロリ「あなたは優しかった。怖いときもあったけれども、私の誕生日を決して忘れなかった」
お経を唱え始めたセロリは木魚の代わりにペットントンを叩く。
セロリ「ナス夫のバカ、ネギ太のバカ、トマトのバカ、バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカタレバカタレバカバカバカバカバカ」
叩かれつづけてダウンしたペットントン。怒ったネギ太は抗議しにセロリの部屋へ入るがボコボコにされて出てくる。つづいてトマトが「アチョー」と入って行くと、ボコボコにされて出てくる。「ただいま」と帰宅したナス夫も「母さん!」と入って行くが、やはりボコボコにされて出てくる。セロリは「ムカー」と叫びながら、猛然と家出。
ペットントン「みんなつめたいムニェ。優しくなるムニェ」
ペットントンはヨーコ(若林一美)と友だちの輪を使って、自分がセロリを祝えばいいと思いつく。
セロリは公園で、ひとり、死んだ夫にもらったプレゼントを取り出し、遺影に語りかける。見守るペットントン。
そこへ初老の男(岩城力也)が現れ、プレゼントを盗んだ。セロリは猛然と追いかけて男を捕まえ、ペットンントンのタイムステッキでことなきを得た。
畑家ではナス夫とトマト、ネギ太がバースデーパーティの準備をしていた。ペットントンは、公園で飲んでいたセロリをつれて帰る。酔っぱらったセロリは、帰宅してパーティのごちそうを見てひっくり返ってしまうのだった。
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【感想】
またもセロリの主役回。前回も子どもたちと行動するのはセロリであったし、初期のセロリはほんとに押されている(このトリックスター的な役割がやがてガン太や根本にシフトしていく)。
地味ではあるが、それなりに筋は通っているし、水準作ではある。セロリが公園でひとり遺影を眺める件りなどなかなかに印象的で、坂本太郎監督の確かな演出力が感じられるが、坂本監督の真価が発揮されるのはもう少し先であろう。クライマックスで何の前触れもなくかっぱらい犯が現れるのには苦笑(全体の構成をあまり考えず、流れで思いつきをつなげていくこの時期の浦沢脚本らしい)。
冒頭に、朝の公園へ出動?したペットントンは、「ムニェムニェ」と言いながら孤独にラジオ体操をする。「開いて閉じて」のあたり、動きにくい着ぐるみで演技するスーツアクター・高木政人氏にの熱演には驚愕。このラジオ体操は1分20秒に渡ってつづき、単なる尺稼ぎかもしれないが、誰もいない公園で緑の化け物が体操している映像は言語を絶するものがある。ラジオ体操をがんばったペットントンは汗を流しており、そのアップは実に気持ち悪い。
珍しく、出勤途中のナス夫が武蔵関駅のホームに立つシーンがある(建て変わる前の駅舎が見られる)。ナス夫の帰宅はネギ太が帰った直後で、随分早い。第38話では明るいうちに帰宅すると、トマトに珍しく早いねなどと言われているが。
先週おしりを出したネギ太は、今回はセロリにボコられて半裸に…。『ペットントン』を見ていくと、今後も少年の裸を愉しめる。
セロリの部屋に入ったネギ太、トマト、ナス夫がずたぼろにされて出てくるシーンでは、カメラを一旦止めている。今回と同じ坂本太郎監督の第31話では小百合が早着替えをするシーンをワンカットでカメラを止めずに撮っており、監督はこの第7話でも本当は早着替えをやりたかったのかもしれない。