『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

「ペットントンスペシャル!」(1984年8月27日放送 脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)

【ストーリー】

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 「NG」のカチンコが叩かれる。

 畑家の前でこけるペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)。

 森で走り寄ってきてこけるサヤカ(小林綾子)。

 高原で、やはりこけるペットントンとサヤカ。

 サヤカとネギ太(高橋利安)、小百合(川口智子)、ガン太(飛高政幸)、ペットントンで大なわとびをするが、失敗。

ネギ太「ペットントン懺悔!」

 ペットントンは天井に頭をぶつける。

ペットントンペットントンもたまには失敗するムニェ」

 荷物を抱えて歩くシーンで、荷物を落っことしてしまうペットントン。 

 

 NG集が終わり、本編スタート。霧ヶ峰の穏やかな高原にて、牛や羊が草を食んでいる。

 納屋でひとり、「夏休みに起きた奇妙な出来事」という表題の作文を書いているサヤカ。外を見ると、アヒルが脱走しようとしていた。「ガースケ!」と呼んで追いかけるサヤカ。サヤカが草むらに近づくと、茂みからペットントンが現れる。驚いて気を失うサヤカ。

 気がつくと、サヤカは木陰にいた。その横で、「ムニェムニェ」とはにかむペットントン。サヤカは思わず笑う。サヤカとペットントンは、指と指でETタッチ。ペットントンは腕を伸ばして花を摘み、サヤカに差し出す。横を通るアヒルを、サヤカは「もう逃がさないわよ」と追いかけ、ペットントンとぶつかる。

ペットントン「大丈夫?」

サヤカ「あなた喋れるの?」

 「よろしく」と握手するふたり。サヤカとペットントンは乳搾りをしたり、羊の世話をする。ニッコウキスゲの咲き乱れる中を仲良く駆けるサヤカとペットントン

 そして黄昏どき。

サヤカ「牧場の夕焼けって、UFOが出てきそうな夕空だと思わない?」

 

 ホテルではトマト(東啓子)が酔っぱらっていた。「いけません!」と言うナス夫(佐渡稔)。ナス夫の仕事の都合であした帰ることが決まり、ショックで天井に頭をぶつけるペットントン

 翌朝、ペットントンは結局サヤカに会えずじまい。

ナス夫「トマト、母さんのお土産のことなんだがね」

トマト「大盤振る舞いよ。えーと100万円、200万円、300万(と渡す)」

ナス夫「300円…」

 

 セロリ(斎藤晴彦)はパチンコで大勝ち。興奮して店員の頭を叩く。そして畑家に帰宅。

セロリ「まったく、あのパチンコ屋と来たら、2回もフィーバーさせといて、結局全部とっちゃうんだから」 

 ナス夫によると、区長との会議の都合で1日早く帰ってきたのだという。お土産は松本名物の小さな栗羊羹。

セロリ「トマトさん!」

トマト「は、はい!」

セロリ「何ですか、これ!?」

トマト「お母さま、私ね、お母さまのお土産にはこーんな!おっきなこけしとか、夢がいっぱいのお人形とか、思い切ってね、お土産屋全部買っちゃうって言ったんですよ。そしたらね、ナス夫さんがね、母さんのお土産には羊羹がいちばん」

セロリ「何?」

 慌てて首を振るナス夫。

トマト「あの歳になって虫歯がないのは年寄りの恥だ。ぼくは見たい、虫歯になって糖尿になった母さんをって」

 嘘泣きのトマト。セロリはナス夫を追いかける。トマトは大あくび。

 

 野原動物病院では、ネギ太が小百合(川口智子)にお土産を渡していた。そこへガン太(飛高政幸)が。

ガン太「おれのネギ太に手を出すな」

 ガン太はネギ太を抱き寄せる。

ネギ太「やめてよ、ガンちゃん!」

 ガン太にも、一応お土産を渡すネギ太。

ガン太「ありがとう」

 ガン太はさわやかにウィンク。

 根本(玉木潤)はまだ小百合に迫っているのだという。

小百合「この夏休み中、ずっと私にまとわりついて…」

 小百合が呼ぶ。

小百合「ネモトマーン」

 ネモトマンになった根本が、ポリバケツの中から登場。

根本「正義の味方、ネモトマン!」

 大きく“ね”と書かれたTシャツを来ている根本。

小百合「ネモトマン、悪いんだけどこのスカート、クリーニング屋に届けてくれない?」

根本「このスカート、ぼくが洗っちゃおうかな…」

 小百合は根本をひっぱたく。根本は「はっはっはっはっは」と行く。

小百合「便利なことは便利なんだけど。どうしたらいいかペットントンにでも相談してみようかしら」

ネギ太「あいつダメダメダメ、いまショック受けちゃって」

 

 公園で沈んでいるペットントン。サヤカを思い浮かべるペットントン。そこをサヤカが歩いていた。

ペットントン「サヤカ」

 ペットントンが手をかけると、全く別人だった。

ペットントン「ごめんなさい、すみません」

 

 「せつない…」と帰宅するペットントン

トマト「ペットントン、お客さまよ」

 居間にいたのはサヤカだった。ペットントンは喜び、飛び跳ねる。

ペットントン「サヤカー」

 

 公園で、ペットントンはサヤカをネギ太たちに紹介。みなでなわとびに興ずる。

サヤカ「後で相談があるの」

ペットントン「ムニェ?」

 沈んだ様子のサヤカ。やがて陽は沈み、夕闇があたりをつつんだ。

サヤカ「私ね、UFOに襲われちゃった」

 「信じる」と言われて首を振るペットントン

サヤカ「でしょうね。ペットントンと牧場で、夕焼けを見ていたでしょう?」

 

 あのとき、ペットントンと別れた後、高原をひとり歩いていたサヤカ。夕空に強烈が光が射す。

 

 すっかり暗くなった公園。

サヤカ「信じないわよね、こんな話」

 すると公園の街灯が点滅して割れる。水道から水が噴き出し、ゴミ箱はジャンプし、ブランコとシーソーは激しく動いて半壊。

サヤカ「UFOよ、UFOが私を!」

 暗闇に浮かび上がるオレンジの光。まぶしさにふたりは目を覆う。近くの小屋にふたりが逃げ込むと、窓が開き、強烈な風が吹き込んできた。

 駐車場に逃れたふたり。停まっていた車のライトが光り、クラクションが鳴る。また現れたUFO。ペットントンは「ホニホニカ」「フニフニ」と宇宙語で何か話す。やがて消えていくUFO。

サヤカ「ペットントン、あのUFOと喋っていたみたいだけど」

ペットントン「あのUFO、サヤカを宇宙人のお嫁さんにするために来た」

サヤカ「そんな!どうして私が宇宙人のお嫁さんにならなくちゃいけないの。私、まだ結婚なんて」

 ペットントンは「サヤカをUFOに渡さない!」と宣言。

 

 朝の畑家。食卓で、ペットントンはネギ太に、昨夜のことをみなに話してくれと頼む。

ネギ太「あんなこと言えるか。宇宙結婚相談所みたいなUFO、誰が信じると思ってんの?」

 セロリが来て、「納豆が32粒」などと献立をチェックし、

セロリ「トマトさんはやったのはネギを刻んだだけ。何にもやってない」

 セロリは窓を開け、「ご町内のみなさま、きょうのうちの朝ごはんは納豆に梅干し、お新香にわかめの味噌汁」と叫ぶ。トマトは「お母さま、やめて!」と窓を閉める。

セロリ「すごい粗食、すごい粗食、すごい粗食でございますよ」

 ナス夫とネギ太は、さわぎをよそに宿題の話。

ナス夫「一生懸命勉強して、父さんみたいになるんだぞ」

 ずっこけるペットントン

 

 「ネーギー太くん」とでかい声で現れるガン太。向かいのおじさん(木村修)はびっくり。

 自室で宿題をするネギ太とガン太。ペットントンは「結婚を上手にことわる方法」という本を読む。

ガン太「ネギ太、髪が乱れてる」

 キスを迫るガン太。

ネギ太「母さーん!」

 

 物置から出てくるセロリ。

 セロリ「ありましたよ、ありましたよ。私が女学生時代から大切にしているこの地球儀が」

 セロリはペットントンにぶつかり、地球儀が割れてしまう。ペットントンはタイムステッキで、割れる前に時間を戻す。

 

 ところかわって神社。ペットントンがサヤカとUFOの話をすると、おかしくなったと思った小百合が根本を呼ぶ。賽銭箱の後ろから現れるネモトマン。

 根本は、ペットントンをゴミ収集車へつれて行く。

根本「すいません、ペットントン引き取ってもらえませんか」

 小百合は根本の首をつかむ。

小百合「ついでに根本くんも引き取ってもらえませんか。私、この夏休み、この子につきまとわれてとっても迷惑してたんです」

 

 誰もUFOの話を信じてくれなかった。

サヤカ「思い切ってUFOのお嫁さんになっちゃおうかしら」

 ペットントンは友だちの輪のお告げを聞いた。

 

ネギ太「え、UFOをさがしに」

ガン太「香港に行く!? ネギ太、宿題やっといて。ペットントン、おれも行く。おれ、中国語ペラペラ」

 

 香港へ来たガン太とペットントン

ガン太「おれが思うには、香港にそのUFOがチャーシュー麺を食べに来たんだ」

 教会の前で「ジャッキー!」と叫ぶガン太。

ガン太「たしかに『プロジェクトA』のときには、この時計塔にいたのにな」

ペットントン「バーカ」

 香港の街を、あてもなくふらつくふたり。すると屈強な男(楊斯)が、「青椒肉絲、麻婆豆腐」と言いながら追ってくる。

 対峙する男とガン太。ガン太はペットントンの後ろに隠れる。男とペットントンはつかみ合いに。男はペットントンの髪をつかみ、ノックアウト。ガン太が飛びかかる。ペットントンは腕を伸ばす。男はペットントンの手に噛みつくが、「まずい、おえー」と逃げ出す。

 夕暮れて、UFOが空を飛び去っていった。船に乗るガン太とペットントン

 

 ガン太とペットントンは、廃道のようなところを歩いていた。現れるUFO。

ガン太「おれ、虚弱体質」

ペットントン「そんなふうに見えないよ」

 ガン太は卒倒したふり。ペットントンは宇宙語で話す。やがて飛び去るUFO。

ガン太「ペットントン、あのUFOと何喋ったの?」

ペットントンペットントン、サヤカの代わりにお嫁さんになるムニェ」

ガン太「何!?」

 ペットントンは、サヤカを救う道はこれしかないと力説。

ペットントン「ガン太、UFOを追って、日本へ帰るぞムニェ!」

 ペットントンは膨らみ、ガン太をつれて浮かび上がった。

 

 夜の新宿を、UFOが飛ぶ。なぜかその場に来たペットントンは、自分が宇宙人のお嫁さんになると叫ぶ。混乱するUFO。

ペットントン「UFO、ペットントンを好きなようにしろムニェ」

 UFOは逃げ出し、ペットントンとガン太は追って行く。UFOは民家の立ち並ぶ路地へ。UFOによると、「獅子座大星雲ゴールド大総督が地球から出されたテレビの電波をキャッチし、その番組に出ている女の子を気に入り、それがサヤカそっくり」だったという。

 ペットントンはサヤカを渡さないと主張。UFOは、光線で倉庫の建物を石にして威嚇。何か話したペットントンは、怯える。

 

 畑家では、セロリが地球儀を愛撫。野原院長(奥村公延)がナス夫に踊りを厳しく指導。トマトが来ると、院長は「どきなさい!」とナス夫を押しのけトマトと踊り始める。

 ベランダで、ショックを受けた様子のペットントン

 

 翌日、公園に集まったネギ太と小百合、根本とペットントン

ネギ太「お前が話があるって言うから、みんな呼んだんじゃないか」

 そこへ走ってくるガン太。UFOが洞窟にいるのだという。ガン太とネギ太、小百合、根本は洞窟へ。誰が先頭かでもめる。

小百合「いくじなしなんだから!」

 小百合が先頭で出発。洞窟の奥にUFOはいた。みなは光につつまれる。やがて黒こげになって出てくる4人。

 

 高層ビル街の前の公園にいるサヤカとペットントン。UFOは、サヤカをつれてこないと、今日中に地球を爆破するという。

ペットントン「宇宙の科学、地球を簡単に爆破できるムニェ」

 大爆発する地球が、サヤカの脳裏に浮かぶ。

サヤカ「ペットントン、私、行く」

ペットントン「ムニェ?」

サヤカ「宇宙人のお嫁さんになる」

 

 畑家の居間で、相変わらずつかみ合うセロリとトマト。

トマト「お母さまぐらいですわよ」

セロリ「何がだい」

トマト「このへんで朝昼夜ヒゲそるばあさんって」

 乱闘に発展。爆破の話を聞かされたネギ太は、白けた顔。

 

 小百合は、和室で「終」の文字を書写していた。部屋は「終」と書かれた紙であふれる。

 

 池のほとりで、根本はカエルを逃がしていた。

根本「ようし、おうちに帰してやるぞ。ほら、帰んな」

 微笑む根本。

 

 ガン太は、「さよなら、ポスト」とポストにキス。「さよなら、狛犬」「さよなら、自動販売機」「さよなら、缶ジュース」と別れを告げていた。

 

 ネギ太は貯金箱を割った。

ネギ太「だからきょうはぼくがごちそうするから、母さんもおばあちゃんも好きなもの食べてよ」

 「はい!」と素直なセロリとトマト。

 

 サヤカは、やはり宇宙人のお嫁さんになるという。

サヤカ「小百合ちゃんたちの気持ちは嬉しいけど。それに、もしかしたらその宇宙人、とってもハンサムでステキな人かもしれないし。ペットントンみたいにね!」

 ペットントンは空き缶を蹴る。空き缶は通行人の頭に当たり、「やったな」と路上で大喧嘩に。クッションが破れて羽毛が飛び散り、出前のそばがぶちまけられ、犬が吹っ飛んで人に当たる。車も渋滞し、通りはパニック状態に。

サヤカ「私、この人たちを見捨てるわけにはいかないの」

 ペットントンは、タイムステッキでパニックになる前に時間を戻した。

サヤカ「私、ウェディングドレス似合うかしら」

 

 電話連絡を受ける小百合、ガン太、根本そしてネギ太。みなで手をつなぎ、友だちの輪のお告げを聞く。

一同「サヤカと地球を救うには!」

 

 畑家では、ナス夫とトマト、セロリがビールで乾杯。夕食はネギ太のおごりだった。

セロリ「何かいいことでもあったんでしょうかね」

トマト「成長したんですよ、あの子も」

 天ぷらや刺身を奪い合う3人。部屋の隅で、地球儀が光っていた。

 

 夜の公園。ペットントンが宇宙語を話すと、飛んでくるUFO。物陰から花嫁がおもむろに現れる。サヤカだった。UFOの光線で、サヤカは宙へ浮かび上がる。

小百合「待ってUFO!その花嫁は偽物。本物は私よ」

 花嫁姿の小百合が出てくる。

ネギ太「いや、私よ」

ガン太「私こそ本物のお嫁さんよ」

根本「何言ってるの、私よ」

 4人がウエディングドレスを着て「私よ!」「私よ!」と叫ぶ。混乱するUFO。花嫁姿の子どもたちが、後から後から駆け寄ってくる。花嫁の群れが公園にあふれた。

ペットントン「サヤカー」

 逃げてくるサヤカ。ペットントンはUFOに頭突きし、UFOは逃走。だがUFOは光線を発射。ペットントンは腕を伸ばして、光線をねじ曲げる。みなは「ホニホニカブーラ、ムニムニザブレ」と叫ぶ。危機は去った。

サヤカ「ペットントン、ありがとう」

 ウエディングドレスを脱ぎ捨て、みなは歓ぶ。

 

 高原の納屋で、サヤカは作文をつづっていた。書き終えて、サヤカは駆け出す。

 

 畑家で、ネギ太と小百合、ガン太、根本がペットントンを縛りつけて、宿題をやっていた。

ペットントン「人の毛だと思ってー」

 みなはペットントンの毛を抜いて、宿題を教えてもらう。

ペットントン「頭痛が痛い」

 セロリの地球儀はナス夫が棄て、トマトが燃えないゴミに出したという。

セロリ「あたしの青春が!」

 ひっくり返るセロリ。

トマト「やったー」

 倒れたセロリに、雀躍するトマト。

ナス夫「やったー。ん、トマト!」

子どもたち「うるさいなあ」

 「失礼しましたー」と元気に出て行くセロリたち。

 

 回る地球儀をバックに、クレジットタイトルがせり上がる。

 

【感想】

 最終話の翌日に “月曜ドラマランド” 枠にて放送されたスペシャル版。エンディング主題歌「一度だけの魔法」を唄う小林綾子氏がゲスト出演している。約70分でシリーズ最長だが、内容はかなりぐだぐだで全編に即席感が漂う。感動のフィナーレがあった翌日にこんなのを出してくるあたりは『ペットントン』らしくて笑ってしまう。

 前年に『おしん』(1983)の子ども時代を演じて人気絶頂だった小林綾子氏はさすがに名演で、地球滅亡を聞かされ愕然となる表情は演技とは思えないほど。『おしん』の女中役で熱演した丸山裕子氏はペットントン役の主演声優であり、ふたりが同じ画面に収まっている!

 スペシャルだけに香港と長野という遠方ロケが実現。序盤の長野ロケは霧ヶ峰の高原の風景が美しく、サヤカとペットントンの睦まじいさまをスローモーションで捉えた映像が素晴らしい(同じ坂本太郎監督の第25話が思い出される)。スタッフ・キャストの慰安も兼ねてなのか、意味もなく松本城旧開智学校も登場する。

 意味がないと言えば、香港ロケは筋に何の影響もなく、無理やりねじ込まれたようにしか見えない(少人数で行ってがさがさと撮ってきたようですごい持て余し感)。ゲリラ撮影らしく、見物人が遠巻きに見ていたり、無遠慮な通行人がペットントンのすぐ横を堂々と歩いていたりする(ハプニング撮影は『ペットントン』では何度も行われているが)。ガン太役の飛高政幸氏は次作『どきんちょ!ネムリン』(1984)の撮影も既に始まっていたはずであり、スケジュールは大丈夫だったのだろうか。

 先述の高原のシーンやペットントンとサヤカをUFOが襲う件りなどは印象深いのだが(台詞が少ないので台本は簡単に書かれて坂本監督が膨らませたのかもしれない)後半は退屈で冗長な部分もあり、全般としては微妙な感。

 通行人のパニックも唐突で、無理くり入れたように思える。通行人のひとりが犬を投げつけており、『時空戦士スピルバン』(1986)の最終話「いま君は知る!クリン星の秘密」でもハムスターが投げられていたが、いまならば動物虐待にあたるであろう(余談だが、最近見た土曜ワイド劇場『悪女の仮面』〈1980〉でもうさぎが乱暴に扱われていた)。80年代はこういうのOKだったのだなと唸るしかない。

 後半の地球滅亡のシークエンスは、同じ浦沢義雄脚本 × 坂本監督による『バッテンロボ丸』(1982)の第13話「地球さいごの大みそか」の焼き直し的な内容。迫り来る破滅を前にみなが超然としているところも同じだが、小百合の部屋が「終」と書かれた紙で埋まっているショットは衝撃的で忘れ難い。

 中盤の洞窟(ここもあまり意味がない件り)は『電撃戦隊チェンジマン』(1985)など1980年代の東映作品に頻出のロケ地。サヤカとペットントンふたりのシーンは第31話でも使われた新宿中央公園で、不コメコメディーシリーズでは『どきんちょ!ネムリン』(1984)の第25話「出た!ベートーベン」や『じゃあまん探偵団 魔隣組』(1988)の第7話「フランケンと少女の夢」などこちらも定番。パニックの場面は清瀬市の西武中央商店街で撮られている。

  2014年に『ペットントン』がバンダイチャンネルで配信された際、このスペシャルは省かれた模様。筆者は、2001年にCSで放送された際に録画して見て、ほとんど失念していた。全話を見終えてから見直したら印象が何か違うかと思ったが、大きくは変わらない。ただ世界観やキャラに愛着が湧いているので、ちょっと喪失感がこみ上げる。

 『ペットントン』の全話レビューはこれにて完結。今後も『ペットントン』が語り継がれていくことを祈念します。

 

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