『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

最終話「さよならさよなら宇宙生物」(1984年8月26日放送 脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)

【ストーリー】

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 明け方、畑家の庭でオミッチャン(福原一臣)のショートケーキ型UFOの修理を手伝うペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)。

 ペットントンに感謝するオミッチャン。

オミッチャン「あんただけよ。私が早くミッチャン星に帰れるようにってUFOの修理手伝ってくれたのは。それに徹夜までして」

 オミッチャンは泣き出す。ペットントンは、いいから早くUFO直そうと言い、「そうね!」とオミッチャンは元気に応じる。

 修理のうるささに「眠れないじゃないか」とセロリ(斎藤晴彦)やナス夫(佐渡稔)、トマト(東啓子)、ネギ太(高橋利安)は起きてしまう。

オミッチャン・ペットントン「ごめん」

オミッチャン「あそばせ」

ペットントン「あそばせ!」

 

 朝、食卓ではみな眠そう。おかずを取ろうとするオミッチャンを、セロリはおたまで攻撃。ふたりの攻防が始まる。

 UFOの中まで、「待てー」とオミッチャンを追いかけるセロリ。セロリが筒状のおもちゃの鉄砲を手に取る。

オミッチャン「あ、それは!」

 光の玉が発射されて爆発。調子に乗ったセロリは、玉を連射。

オミッチャン「あー私のUFOが!」

 寝ぼけたペットントンは友だちの輪を取り出す。

オミッチャン「それじゃないわよ、ペットントン!」

 ペットントンはタイムステッキで時間を戻す。すると、セロリが暴れる直前に時間が戻り、UFOの機器が動き出す。UFOは完全に復調したらしい

オミッチャン「私、これでミッチャン星に帰れるんだわ! ありがとうセロリ、ありがとうペットントン

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 オミッチャンがあした宇宙へ帰ると聞いて、野原動物病院院長(奥村公延)も帰還を祝う。

オミッチャン「あらやだ、おめでとうなんて言われちゃって。その上送別パーティーまで開いてくれるなんて」

セロリ「誰がそんなこと言いました?」

 喜色満面のオミッチャンは、ジュースやビールも要求。

トマト「冗談でしょ」

 お寿司やサンドイッチ、焼き鳥も欲しいと言うオミッチャンに、一同ずっこける。

 

 ペットントンは公園で考え込んでいた。ジャモラー(声:八代駿)が池の中から出現。

ジャモラー「ペットントンの髪の毛ごちそうジャモラー」

 ペットントンは、ジャモラーに宇宙に帰りたいかと尋ねる。

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 オミッチャンは、UFOから母星・ミッチャン星の大統領(声:渡部猛)に帰還を報告。

ミッチャン星大統領「あたいもペットントン連れてくること待ってるわよ」

 ミッチャン星大統領は、ペットントンを連れてきてスターにすることをまだ期待していた。

オミッチャン「それが…本人がどうしても厭だって言うんです。それに、このUFOを修理してくれたのもペットントンだし、それ以上のことは、あたくし…」

ミッチャン星大統領「オミッチャン!」

 

 オミッチャンによると、ミッチャン星大統領から、ペットントンを連れてこないなら代わりに人間を1匹連れて来るよう命じられたという。驚くペットントン

オミッチャン「ミッチャン星国立動物園の檻が、が〜、ひとつ空いてるんだって」

 

 根本(玉木潤)が、小百合(川口智子)に草花を渡していた。

根本「愛してます!」

 受け取った小百合は根本に平手打ち。吹っ飛ぶ根本だが、ひるまない。

根本「小百合さん、きみはぼくの太陽だ」

 また小百合は根本に平手打ち。また吹っ飛んだ根本は、葉っぱをむしって小百合に渡す。

根本「きみはぼくの仏さまだ」

 すると、ペットントンとオミッチャンが揉めているのが見えた。

根本「小百合さん、ここはぼくに任せてください。はっはっはっはっは」

 根本は、茂みでネモトマンに変身。

根本「小百合さん、ペットントンはこのかっこいいネモトマンが助けます」

 駆けつけたネモトマンは、オミッチャンにこづかれ、うわーんと号泣して去る。普段着に戻った根本は、「はっはっはっはっは」とすぐまた現れる。

根本「小百合さん、夏休みももうすぐ終わりですね。ああ、かゆい」

 

 池のほとりで、ジャモラーは涙を流す。

ジャモラー「帰りたい、宇宙に帰りたいジャモラー」

 ペットントンが現れると、ジャモラーはまた笑顔に。

ペットントン「いっしょに宇宙に帰ろう」

 

 公園でネギ太とガン太(飛高政幸)に、ペットントンが帰ると報告する小百合。

小百合「ペットントンは、私たち地球人のことを思って、オミッチャンとミッチャン星へ行くのよ」

ネギ太「どういうこと!?」

ガン太「それじゃまるで地球人を救うみたいじゃないか!?」

小百合「もしかして、そうかもしれない」

 オミッチャンがひとりで帰ればいいと、怒るネギ太。

小百合「でもオミッチャン、必ずどこかに降りてきて、人間ひとり連れてくわ。ネギ太くん、自分さえ助かればいいっていうの? ペットントンの気持ちも考えてやりなさいよ」

ガン太「ネギ太、小百合の言う通りだな。もしかして、ペットントンにとってそれがいちばんいいことかもしれないしな」

小百合「もともと、ペットントン宇宙生物なんだし」

ガン太「ネギ太、そんな顔してたら、ペットントン悲しむぞ」

小百合「そうね、明るくお別れしましょ」

 ガン太の発案で、3人は明るくなる練習をする。無理に笑う3人。

 

 ペットントンはそば屋のマサト(高木政人)や主婦など近所の人や鳥、イヌ、ネコにお別れの挨拶をして回る。そして夕暮れどきの街を見下ろした。

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 その夜、畑家ではペットントン(とオミッチャンとジャモラー)のお別れパーティが開かれた。照明が落ち…

セロリ「また始まった」

 オミッチャンが「矢切の渡し」を唄い出す。

オミッチャン「♪夕ぐれの雨が降る 矢切のあたし〜」

 野原院長とトマトが踊る。茫然とするナス夫とセロリ。

 ネギ太と小百合、ガン太、根本、ペットントンで「藁の中の七面鳥」に合わせてフォークダンス。ナス夫やトマト、野原院長、セロリも加わって、みなでペットントンを囲んで踊る。

 

 やがて朝が来た。床やソファで寝ているみなを見つめるペットントン

オミッチャン「さあ、行きましょ。ペットントン

ジャモラー「みんなが起きれば、未練が残るジャモラー」

 ペットントンは、ひとりずつ、みなの寝顔を見る。

ペットントン「ネギ太、さよなら。ガン太、根本、小百合、トマト、さよなら。ナス夫、セロリ、先生、さよなら。さよならムニェ」

 庭へ出て、名残惜しそうにUFOの前でもう一度振り返って乗り込むペットントン

 

 UFOの中で、ミッチャン語を喋って操作するオミッチャン。

ジャモラー「ペットントン、お前残りたいんジャモラー?」

 UFOが庭を飛び立つ。

ペットントン「ムニェ…」

 苦しげなペットントン。昨夜の、みなの笑顔が思い出される。

オミッチャン「あ、ペットントン

ペットントン「ムニェ」

オミッチャン「見て、ほら!」

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 畑家の庭で、みなが手を振っていた。

一同「ペットントン!」

 「そうだ!」とベランダへ上がったネギ太たち。ベランダで「さよならー」「気をつけてー」と手を振りつづける。

 UFOは見えなくなった。ずっと空を見る一同。

 

 UFOの中で号泣するペットントン。オミッチャンも、もらい泣き。

オミッチャン「もう厭、こんなの。ジャモラー、手伝いなさい!」

 ペットントンを後ろから、「それっ」とつかまえるオミッチャン。

 

 畑家では、みなが虚脱状態でいた。そこへずぼーんという音。庭には、初めて会ったときと同じ大きな銀の袋が! 中から現れるペットントン

ペットントン「また帰ってきた」

 駆け寄る一同。

 

 UFOの中。

オミッチャン「ペットントンは、地球の生物として立派に生きていくのよね」

ジャモラー「ペットントンの代わりに、おれが大スターになるジャモラー」

オミッチャン「あんたが大スターに?」

ジャモラー「うん」

オミッチャン「無理よ! ん、でも動物の代わりにはなれるかもね」

 うはははははと笑うふたり。

オミッチャン「さあ、行きましょ」

 主題歌が流れ始める。

オミッチャン「エネルギーパワーアップ!!」

 UFOは加速した。

 

 エンディングクレジットの背景で、みなは野球に興ずる。審判は向かいのおじさん(木村修)。

 ガン太は相変わらず、「ネギ太ー」と追いかけてキス。

ガン太「やったー」

ネギ太「あーもう厭!」

 野原院長とトマトは、睦まじく踊る。バットを持ったナス夫は激怒。喜ぶセロリ。

 ペットントンは腕を伸ばしてジャンプし、捕手を務める。

根本「結婚してください」

 小百合は根本を平手打ち。

 そしてセーフかアウトかで大騒ぎ。愉しい日々はいつまでもつづくのだった。

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【感想】

 遂に最終話。同じ不思議コメディーシリーズの『ロボット8ちゃん』(1981)では主人公がみなとさよならし、『バッテンロボ丸』(1982)では別れかと思いきや舞い戻るというラストだった。今回は『ロボ丸』を踏襲し、また主人公とみなの生活が継続するという終わり方。前2作の最終話はそれぞれ素晴らしかったが、浦沢義雄先生でないライターが執筆しており、『ペットントン』は不思議コメで初めて浦沢先生の筆によるフィナーレ(特に浦沢先生らしさがそれほどあるわけでもないが)。

 浦沢脚本の不思議コメ最終回では、今回のように同じような日々がつづいていくという内容が多い(例外的なのが『魔法少女ちゅうかないぱねま!』〈1989〉の最終話「別れのクリスマス」で、それまでのばかばかしさからは信じられないようなパセティックな描かれ方だった)。ドライな浦沢脚本の世界では、ラストだから怒涛の盛り上がり、というのは想像しがたい。

 オミッチャンの台詞でペットントンは今後、「地球の生物」として生きていくのだと語られる。作り手がどこまで意識していたかは不分明だけれども、ガン太や根本などからさんざん「宇宙生物はあっち行ってろ」「三流宇宙生物」などと言われつづけた彼の選んだ道が「地球の生物」になることであったというのは感慨がある。

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 『ペットントン』は、序盤は比較的無難なホームドラマ仕立てであったが、中盤からあくの強さに拍車がかかっていった。そして、浦沢脚本の定番である無生物ドラマや変な思い込みをこじらせた怪人物の活躍も始まる。好視聴率の後押しでやりたい放題できたという事情もあるだろうが、『ペットントン』において浦沢先生はいまもつづく自身のメソッドを確立したと言えよう。

 一方で第20話のような破壊的なラストは、1990年代以降の浦沢脚本では影を潜め、比較的静かに収束するように変わってきている。

 

 ネモトマン、子どもたちのフォークダンス、野原院長とトマトの踊り、「矢切の渡し」など、これまでのねたがいろいろと登場。最後のパーティーは、おそらく坂本監督と役者さんや現場のアイディアだろう。

 ジャモラーの登場は第41話以来で、最近出番が少なかっただけにご無沙汰感が(久々の泣き顔も披露)。「宇宙に帰りたい」と泣いているけれども、彼はもともと地球生まれでは…?

 みなに別れを告げる場面で、名残惜しそうなペットントンスーツアクター・高木政人氏の動きは、円熟の域。そしてUFOに乗って泣き崩れる、丸山裕子氏の声にも感銘。

 ペットントンを見送るみなは、もちろん一様に素晴らしいのだが、特にナス夫の佐渡稔氏とセロリの斎藤晴彦氏の空を凝然と見る表情が味わい深い。 

 中盤でエンディング主題歌「一度だけの魔法」が流れ、ラストは何とオープニング主題歌という趣向。準レギュラーのおじさん・木村修氏も登場(警官やヨーコにトモコ、葉波も出て欲しかったなあ)し、いつもと変わらないみなの元気な姿に、見る者は幸福感につつまれる。

 

 スタッフ・キャストのみなさま、本当にお疲れさまでした。『ペットントン』は永遠に不滅です…。