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『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第45話「どこいったセロリのUFO」(1984年8月19日放送 脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)

【ストーリー】

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 家出したセロリ(斎藤晴彦)は、朝から元気にジョギングして、オミッチャン(福原一臣)のショートケーキ型UFOに帰ってきた。シュラフで寝ているオミッチャン。

セロリ「いつまで寝てんだよ、この」

オミッチャン「そんなことあたしの勝手でしょ。ここはあたしのUFOなんだから」

セロリ「いいんですか、オミッチャン。私はこの町内じゃちょっとばかし顔が利くんですからね。この空き地からUFOを追い出す運動起こしたっていいんですからね」

オミッチャン「おはようございます、セロリさま」

セロリ「早くご飯にしなさいよ!」

 はたかれるオミッチャン。

 

 畑家の食卓にて、トマト(東啓子)は、いつまでもセロリがオミッチャンのところでお世話になるわけにはいかないと言う。

トマト「近所の人に、なんて言われるか」

 ペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)やネギ太(高橋利安は厭がり、結局トマトが迎えに行くことに。

 

 UFOの前で、セロリの横暴についてぼやくオミッチャン。そこへトマトが。

トマト「お母さま!」

セロリ「トマトさん!会いたかった、会いたかった!」

 抱き合い、手を握り合うふたり。

セロリ「私もう、トマトさんがいないと生活に張りがなくて」

トマト「私も」

オミッチャン「だったら早く引き取ればいいじゃないの」

 セロリは、オミッチャンに掃除や肩みをやらされていると泣いて訴える。

トマト「お母さま、この仇は私が」

 石で攻撃されるオミッチャン。

 

 公園にいるネギ太と小百合(川口智子)、ガン太(飛高政幸)、ペットントン

小百合「夏休みも半分は過ぎちゃったのね」

ペットントン「ムニェ」

小百合「そろそろ宿題やらなくっちゃ」

ペットントン「宿題?」

小百合「ペットントンはいいわね。宿題なくて」

 キャッチボールするネギ太とガン太。

小百合「あのふたり、宿題のこと考えてるのかしらね」

 

 UFOの前で愚痴るオミッチャン。

オミッチャン「嫁も嫁なら、ばばあもばばあだよ。ほんとによくあんなうちにペットントンいられるわ」

 後方から笑顔で近づくセロリは、「さっきはごめん」とオミッチャンの肩をもうとする。

オミッチャン「なんか企んでる」

セロリ「揉ませろ」

 オミッチャンは逃げるが、無理につかまって肩みされる。陰で見ていたナス夫。

ナス夫「やっぱりトマトの言った通りだ」

 ナス夫はスコップでオミッチャンを襲撃。

オミッチャン「嫁も嫁なら亭主も亭主だ」

 オミッチャンはのびた。

ナス夫「母さん、こんなやつのところにいることはありません。帰りましょう!」

セロリ「まだ心の整理が」

 あああと声を上げるオミッチャンは、ナス夫に再度スコップで殴られる。

 

 公園にて、ガン太は宿題をやるつもりはないという。

ガン太「あんなのやらなくても、学校行って廊下に立ってればいいんだもん」

ネギ太「嘘」

ガン太「そのうち秋になって夏休みの宿題なんか忘れちゃうもんなんだよ」

 そこへふらふらのオミッチャンが。

小百合「オミッチャン、またなんか悪いことしたんでしょう」

オミッチャン「ふん!」

小百合「ふん!」

 オミッチャンはペットントンに泣きつく。

オミッチャン「ペットントン、ねえ、あたしの悲しい話聞いてくれる」

 みなは話を聞く代わりに、ハンバーガーを要求。

 

 ハンバーガー店にて、無言でガツガツ食べるみなの前で、オミッチャンは悲しみを語る。超オーバーアクションで熱演するオミッチャンだが、みなは無視。メロディアスな音楽が。

 

 畑家の居間。悲愴な音楽はつづく。沈痛な面持ちのナス夫とトマト。

トマト「まだ心の整理ができてないって?」

ナス夫「そう言ってた」

 思わずキスしようとするナス夫は、トマトにひっぱたかれる。

 

 ハンバーガー店でオミッチャンの熱演も佳境に。オミッチャンはカメラを見て切々と訴える。

オミッチャン「この先、オミッチャンはどう生きて生きて生きていけばいいのかしら」

 あああああああと泣き伏すオミッチャン。

オミッチャン「どう、感動した?」

 ネギ太たち3人は「ごちそうさまでした」とクールに出て行く。ペットントンはセロリを連れ戻す方法を考えていた。

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 UFOへ来たペットントンだが、ペットントンが話しかけても万年床にいるセロリは暴れるのみ。ペットントンは腕を伸ばすが、UFO内の四方八方に結ばれてしまった。

 

 畑家にて、ペットントンの手をほどくナス夫とトマト。痛がるペットントン

トマト「あーよしよしよし。あなた、このままでいいの」

ナス夫「よくないさ。しかし母さんの心の整理ができないんじゃ」

 そこへ小百合が駆け込んでくる。

小百合「オミッチャンが!」 

 

 公園の橋で、オミッチャンは身体に石をつけて飛び込み自殺を図っていた。駆けつけるペットントン。止めるネギ太とガン太。

ガン太「生きていれば必ずいいことがあるから」

オミッチャン「冗談じゃないわよ。あたしのUFOからセロリが出て行かない限り、あたしの人生は…」

 オミッチャンは、石を川に投げ落とした。足下には“いしょ”が。みなはオミッチャンを掴む。

オミッチャン「離してよ。離さないと、あんたたちも落ちちゃうわよ」

ネギ太・小百合・ガン太「なるほど」

 ネギ太たちはあっさり離す。

オミッチャン「ああ、落ちる!」

 オミッチャンは川に転落。みなは「さようなら」と穏やかに手を振る。駆けつけたペットントンはタイムステッキで時間を戻し、オミッチャンを公園の柵に縛りつけた。

 ペットントンは友だちの輪に「セロリを連れ戻すには」と訊いた。だが答えは出ない。しかしネギ太たちが加わっても、考える力が弱く答えは出ない。

小百合「ちょっと待ってて、誰か連れてくる」

オミッチャン「小百合お嬢さま、頼むわよー」

 小百合はそのへんにいた数人を連れてきた。

ガン太「手をつなぎ」

ネギ太「目をつぶる」

小百合「そして考える」

一同「セロリを連れ戻すには!」

 答えは出ず、ガン太が女子高生らも呼んできた。

オミッチャン「あ、青い山脈

 一同は輪になる。

ガン太「手をつなぎ」

ネギ太「目をつぶる」

小百合「そして考える」

一同「セロリを連れ戻すには!」

 答えは出ず、「ほとんど絶望」とオミッチャン。今度はネギ太が子どもたちを呼んできた。

オミッチャン「数が多きゃいいってもんじゃないの」

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 「セロリを連れ戻すには! セロリを連れ戻すには! セロリを連れ戻すには!」と唱える一同。答えは浮かび、みなは「やったー」と歓喜

 

 オミッチャンのUFOにまたやってきたペットントンは、セロリを銭湯に誘う。

セロリ「いい湯だな」

ペットントンあははーん」

 浴槽で唄うふたり。

 

 公園でいまだ縛られているオミッチャン。そこを通った男性(入江正徳)に「助けて」とウィンクするが、逃げられる。

 

 銭湯の帰りに、かき氷を食べるセロリ。何やら電話しているペットントン

ペットントン「セロリ、帰ろう」

 膨らんだペットントンは、セロリといっしょに浮かび上がった。ペットントンはUFOに戻るという。

 

 あの空き地からは、ショートケーキ型UFOがなくなっていた。

 

 ペットントンが降下したのは、畑家のベランダ。庭にUFOがあった。庭にUFOを置くなと文句を言うナス夫とトマト。

ネギ太「いいじゃない、UFOが庭にあったって。父さんも母さんもおばあちゃん連れ戻したかったんだから」

 セロリは戻るのを厭がるが、

トマト「お願いしますよ、お母さまがいないと、近所の噂がうるさくて」

セロリ「え、冗談じゃありませんよ。私はね、家出がおもしろくなってきたっていうのに」

 セロリは宇宙へ家出すると言い出し、ベランダから飛び降りようとする。

 そこへ柵に縛られたままのオミッチャンが現れた。

オミッチャン「勝手にあたしのUFO引越しさせないで!」

 オミッチャンは、柵でベランダの柱をガンガン叩く。セロリとペットントンはUFOの中へ転落。イチゴが煙を吹き、煤まみれで出てくるセロリとペットントン

オミッチャン「あたしのUFOが!」

 オミッチャンは泣いてこけ、みなは笑ってしまう。

 

【感想】

 ラスト前のエピソードだが、浦沢義雄脚本の『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』(1989)や『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989)、『美少女仮面ポワトリン』(1990)のようなバトルの展開ではないゆえ、最終決戦前の緊迫した雰囲気、というようなのはもちろんない。前回(第44話)はネギ太やナス夫、トマトがメインだったのに対して、今回はセロリが活躍。大詰めなので、前回に引きつづき畑家のメンバーに最後の出番をしっかりつくろうという意図が感じられる。ただし前回は小百合やガン太が登場せず、筋もよくある普通のホームドラマっぽかったのに対して、今回は小百合たちに加えてセロリやオミッチャンの怪演も炸裂し、これぞ『ペットントン』の本道?と言うべきエピソード。

 序盤の食卓のシーンでは、トマトがペットントンを呼ぶシーンにて「ペーットントン」と主題歌のフレーズを唄ってみせる。何てことない場面だが、前回もトマトの東啓子氏は頭巾をかぶってみたり、さりげない小技を効かせている。

 ナス夫がトマトにキスを迫るのは第1話第22話でもあったが久しぶりに…。

 

 第35話あたりでは暗躍していたオミッチャンは、今回ほぼセロリに振り回される役どころ。劇団黒テントでの共演歴の長い福原一臣氏と斎藤晴彦氏との応酬はもう爆笑コントの域で、ふたりの生前に舞台を見たかったという思いに駆られる。

 オミッチャンは「ペットントンよくあんなうちにいられるわ」とぼやいており、改めて畑家の連中の悪辣ぶりが言及された。

 オミッチャンが店でオーバーな身振り手振りで身の上話をするシーンでは、BGMのみで店の外から撮られていて、ネギ太たちは黙々と食べているけれども多分演者はみな笑いをこらえていたと思う。

 友だちの輪のシーンも最後であるだけに、周囲にいた数十人が参加するという豪華版となった。

 

 夏休みの宿題をやらない子どもについて浦沢先生は、ああいう子どもは「俺だもん」、宿題なんかやるわけがないとインタビューで述べていた。

 重石をつけて自殺を図ろうとするのは、『どきんちょ!ネムリン』(1984)の第10話「バス停くん田舎へ帰る」でも反復されていて(あちらは無生物だが)、同じ石神井公園の橋が使われている。

 

 UFOの停泊する空き地は、第39話と同じところ。銭湯は東映撮影所の近くにある三原台富士の湯である。

 さあ、次回はいよいよ最終話。