『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第42話「エッ?ガン太が乙姫様」(1984年7月22日放送 脚本:浦沢義雄 監督:冨田義治)

【ストーリー】

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 入道雲が出て、暑い盛り。公園の木陰で、浦島太郎の格好をした男(石塚信之)がアイスを食べていた。カメラの方を見て、ニヤリと笑う男。

 

 畑家では、ペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)がセロリ(斎藤晴彦)を団扇であおぐ。

セロリ「こう暑いと、浦島太郎にでもなりたいですね」

ペットントン「浦島太郎ムニェ?」

 暑さでダウン状態のセロリはマイコン(声:高坂真琴)に答えさせる。

マイコン「浦島太郎とは」

ペットントン「とは?」

マイコン山口百恵の夫です」

 ずっこけるふたり。

 

 ペットントンはトマト(東啓子)に、お昼の冷やし中華のための買い物を命じられる

ペットントンペットントンばっかなんだムニェ」

 文句を言いながら出かけたペットントンは、商店街の本屋で浦島太郎の絵本を立ち読み。そこへ蕎麦屋のマサト(高木政人)が来る。

マサト「何読んでんの」

ペットントン「浦島太郎」

マサト「♪むかしむかし浦島は 助けた亀に殴られて」

ペットントン「ムニェ」

マサト「♪竜宮城に来てみれば 乙姫様にも殴られた」

 

 ネギ太(高橋利安)のもとへガン太(飛高政幸)から電話がかかってきた。ガン太は、きのうから海へ来ているという。

ガン太「おれがいなくて淋しい? お前、そんなにおれのことを。ありがとう、ネギ太。おれ、お前のこと一生離さないから。期待して待ってろ。お前のために魚釣ってくるかならな。マグロがいいか、クジラにするか? いや、おれ、お前のためにジョーズ釣ってみせる」

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 だがネギ太は、受話器を放ったらかして、ナス夫(佐渡稔)やトマトと冷やし中華を食べていた。

ナス夫「トマト、焼き豚はやっぱり肉屋のほうが」

トマト「私はスーパーの焼き豚のほうが好き。ネギ太は?」

 自分もどこかへ行きたいネギ太は、ペットントンの友達の輪を奪い、「こういう家庭に育った子ども」はどうなるか訊く。「非行少年になる」とのお告げ。驚くナス夫とトマト。

ネギ太「ぼくが非行少年にならないためにも、海とは言わないから、プールくらい連れてってよ」

 ナス夫とトマトは無視して、食べながら2階へ逃げ出す。

ネギ太「ぼく、本当に非行に走るよ」

 食卓に残ったペットントン。テーブルの下から唐突に根本(玉木潤)が出てくる。

根本「根本〜」

 ペットントンは驚いて椅子から転げ落ちる。

根本「ペットントンに相談ある根本〜」

 

 公園でペットントンに氷イチゴをご馳走する根本。

根本「ペットントンくん、お願い。小百合さんの写真が撮りたいの」

ペットントン「ムニェ?」

根本「小百合さんの、小百合さんの、ニヒヒヒヒ、水着姿を写真で撮りたいの」

 水着も用意してあった。

根本「3年前に死んだ、ぼくのひいばあちゃんの水着なんです」

 公園に呼び出された小百合(川口智子)。

小百合「何考えてるのかしら、あの子」

ペットントン「さあ、わかんない」

根本「小百合さん、ぼくは小百合さんに失われた日本の伝統美を求めただけです。小百合さんの水着姿が見たいなんていういやらしい気持ちはほとんどありません」

小百合「根本くん、あんた。私、本当に怒るわよ」

 目を閉じる根本。

ペットントン「根本?」

根本「怒って。ぼく、小百合さんに怒られたい。さあ、気が済むまで怒って、怒って。さあ、怒って」

小百合「ペットントン、助けて!」

 そこへ、あの浦島太郎の格好の男が歩いてくる。立ち止まり、振り向いた男のメガネが光る。

 

 いつしかペットントンは砂浜にいた。波打ち際で、根本みたいな亀(玉木潤)が小百合に似た村娘(川口智子)に迫っていた。

亀「ね、もっといじめて」

村娘「やめてよ」

亀「いじめてよ」

 ペットントンは通せんぼをして村娘を逃す。

亀「何をするんです」

 村娘は「ありがとう」と言って逃げていく。

亀「わかった、きみは浦島太郎ですね」

 ペットントンは違うと言うが、

亀「もうそろそろ現れるころだと思ってましたよ。やい、浦島太郎。人がせっかくいい気持ちでいじめられていたのに、この責任どうとってくれるんです?」

ペットントン「ムニェ」

亀「あの村娘のかわりにぼくをいじめて」

 ペットントンに迫る亀。今度はペットントンが海中へ逃げると、ボートに釣り上げられた。そこにいたのは女装?の男で「へへー」と笑う。

ペットントン「あ、ガン太!」

男「ガン太? おれはガン太じゃない。乙姫さまだ」 

 乙姫(飛高政幸)もペットントンのことを浦島太郎だと言い、証拠の絵本を見せる。その表紙には、亀に乗ったペットントンが。

乙姫「よし、竜宮城に案内してやる」

 動き出すボート。

 

 竜宮城で、ペットントンは乙姫に酒を注ぐ。

乙姫「昔から、浦島太郎は乙姫様にサービスするようになってんの」

 見せられた絵本でもそうなっていた。

乙姫「もうちょっと色っぽく注げないの」

 「うっふーん」と注ぐペットントン。乙姫はペットントンに、唄や踊りなどの芸を要求。

ペットントン「唄ったり踊ったりするのは、タイやヒラメ」

 だが絵本では浦島太郎が唄っていた。仕方なく、ペットントンが「矢切の渡し」を、「♪つれてムニェムニェ」と唄う。だが下手なので、「もういい」と乙姫が自分で唄い出す。

乙姫「♪恋のからくり 夢芝居 台詞ひとつ 忘れもしない」

 その前で踊るペットントン。踊りも下手。

乙姫「お前、本当にタレント性ない。乙姫さま怒った。浦島太郎を死刑にする」

ペットントン「ムニェ!」

乙姫「そんなにびっくりすることないじゃない?」

 乙姫は絵本を開く。

乙姫「昔から、ほら、浦島太郎は死刑にされてしまいました。めでたし、めでたし」

 慌てるペットントン

乙姫「みんな、浦島太郎を死刑にするぞ」

 兵士が襲ってくる。逃げたペットントンの前にあの根本みたいな亀が。

 

 ペットントンは砂浜に上がってきた。また亀が「いじめて」とペットントンを追いかける。

亀「お願い、いじめられたいの」

 見ている村娘。亀は村娘にも「いじめて」と迫る。あのメガネの浦島太郎が歩いてきた。浦島太郎が笑う。

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 気がつくと、ペットントンは公園の木陰で寝ていた。根本が「さあ、怒って」と小百合に迫っている。ペットントンの横には、あの絵本と玉手箱が。ペットントンはそれを持って行ってしまう。

小百合「ペットントン、助けてくれないの!」

根本「小百合さん、怒って!怒ってほしいの」

小百合「うるさいわね」

 小百合は根本をひっぱたく。嬉しげな根本。

 

 畑家では、ペットントンが竜宮城に行ってきたと聞いて、驚く一同。絵本では、玉手箱から宝物が出てくることになっていた。セロリは玉手箱を強奪。

トマト「あなた、取り返すのよ」

ナス夫「母さん、待ちなさい!」

 庭で、みなは玉手箱を奪い合う。弾みで玉手箱が開いた。中から煙が出てくる。

トマト「どうしよう、ばばあになってしまう」

セロリ「わたしゃ最初からばばあでございますよ」

ナス夫「トマト、ばばあになってない」

トマト「あなたもじじいになってないわ」

ネギ太「ペットントン、お前最初からぼくたちをだますつもりでこんな絵本つくって」

 ペットントンはタイムステッキで時間を巻き戻し、みなにガスマスクを付けさせた。だが、結局もめる一同。そこへやってきたガン太。

ガン太「ネギ太ごめん。何にも釣れなかった。お詫びのしるしに、おれを活き造りにしてくれ」

 パンツ1枚になるガン太。一同はもつづける。

ガン太「諸君、こんなテレビ見てると、おれみたいな子どもになっちゃうぞ」

 ナス夫やセロリに蹴られるペットントンは、寝転がったガン太にのしかかってしまう。

 

【感想】

 3度目になる、コスプレによるパラレルワールド編。第26話ではセロリがメインで魔女になり、ネギ太と小百合、ガン太は動物に。第31話では小百合が主役で、ネギ太とガン太は忍者に。今回は、ガン太がタイトルロールの乙姫で、小百合と根本が加わっている(次回予告では「ブスな乙姫さま」と言われていた)。

 第26話では完全な夢落ちだったけれども、31話ではほんとにタイムスリップ。今回は31話と同じメガネの男(石塚信之)が登場し、夢落ちだが玉手箱と絵本を持ち帰ってきているという不分明なラスト。映画『オズの魔法使』(1939)や『緯度0大作戦』(1969)の結末を想起させた。

 同じ東映制作の平成仮面ライダーの劇場版ではよくパラレルワールドをやっているが、ひとつのテレビシリーズの中で3度もパラレルをやるのは珍しい(後年の『仮面ライダー龍騎』〈2002〉くらいか)。3度目だけにいささか食傷気味な気もするけれども、死刑の件りやガスマスクを装着してもめている横でパンツ1枚になるラストなど趣向のサイコ性は前2話より際立っている。 

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 ペットントンは波打ち際から海の中へざぶざぶ入っており、海に浸かったり、ごぼっと水中から浮上したりするのはなかなか面白い光景。根本役の玉木潤氏も亀のスーツ?で熱演。

 「矢切の渡し」は第1421話、「夢芝居」は第31話でも唄われている。ガン太の飛高政幸氏は次作『どきんちょ!ネムリン』(1984)でも何度となく熱唱しており、それが「超絶に下手」などと近年もネットで話題になっているが、今回はちゃんと音程が取れている(『ネムリン』では演技で下手に唄っていたのだろう)。

 劇中の絵本にはペットントンが描かれている。『ペットントン』のコミカライズは漫画家の山田ゴロ氏が担当していて、この絵本も山田氏の手によるのだろうか。

 

 浦沢義雄脚本では同じ不思議コメディーシリーズの『うたう!大龍宮城』(1992)をどうしても想起してしまうけれども、『大龍宮城』では衣装や美術デザインは洋風で今回のような和風の意匠は排除されている。東映の同時期の作品では、『宇宙刑事ギャバン』(1982)の第18話「乙姫さまコンテスト ハチャメチャ竜宮城」でも番外コメディー編として「浦島太郎」が取り上げられており、今回の印象は『ギャバン』に近い(予算が違うのか、竜宮城のセットはギャバンのほうが豪奢で『ペットントン』は簡素)。『ギャバン』は若い女性が大挙して出てくるお色気編?とでも言うべき内容だったけれども、『ペットントン』は別の意味で…。ネギ太と根本は既に脱いでいるが、ついにガン太も。『ペットントン』の少年趣味はここに極まった。

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