『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第37話「ガン太は根本のお兄様」(1984年6月17日放送 脚本:浦沢義雄 監督:冨田義治)

【ストーリー】

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 セロリ(斎藤晴彦)は庭でスウィング。窓ふきをしていたペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)がバカにして笑うと、クラブで攻撃される。セロリが出かけると、茂みからジャモラー(声:八代駿)が出現。逃げ回るペットントンはジャモラーを洗濯機へ蹴落とす。洗われて、干されたジャモラーが言う。

ジャモラー「ペットントン、お前も暇なやつジャモラー。趣味ぐらい持てよ」

 ペットントンは友だちの輪のお告げにより、趣味で料理に挑戦。ナス夫(佐渡稔)はペットントンのつくるごはんを厭がって外食へ。ネギ太(高橋利安)は根本(玉木潤)に呼び出された。トマト(東啓子)はペットントンにつかまる。

 

 ネギ太と根本は神社に来ていた。ヌフフフフと無気味に笑う根本。

ネギ太「お前、その笑い方、友だちなくすぞ」

 根本は笑いつづける。

根本「ぼくはマンネリの美学を追求しているだけです」

 ネギ太が帰ろうとすると、

根本「ネギ太くん、小百合さんのことをあきらめなさい。小百合さんは、誰が見ても優秀でハンサムボーイのこの根本が責任を持って幸せにして見せます」

 

 畑家では、トマトがペットントンの野菜炒めを食べてみた。

トマト「これ意外といけるわよ」

 

 所変わって公園。

根本「チョコレートあげるから、小百合さんのことあきらめたまえ。このチョコレート、デパートで買ったんですよ。じゃマイコンゲームもつけます。これだけつければ、小百合さんのこと、あきらめてもらえますよね。はっはっは」

ネギ太「根本、おれ本当に怒るよ」

根本「何です、そのお顔。ぼくとやる気ですね。いいでしょ、やりましょ」

 ネギ太と根本は、公園にて対峙。ふたりは勢いでパンツ1枚になってしまう。

根本「最後の手段」

 根本はパンツを脱ごうとする。「根本やめろ」と止めるネギ太。そこへなぜかペットントンが現れた。

ペットントン「あ、小百合」

 都合良く小百合(川口智子)も現れ、楽しげに歩いていく。

根本「突然思い出しました。きょうママとロードショー見て、ホテルでディナー食べなくちゃいけなかったんです」

 ネギ太とペットントンは、小百合のあとをつけた。ふと見ると、帰ったはずの根本も小百合を尾行中。

根本「いやあ諸君、久しぶりですね。はっはっはっはっは」

ネギ太「こら根本、お前、ママとロードショーでディナーじゃなかったの」

ペットントン「ムニェ」

根本「まさかとお思いでしょうが、映画館が突然火事になりまして、ホテルが台風をまともに受け」

 ネギ太が「嘘つけ」と言うと、

根本「ごめんごめん、これはぼくが悪かった。はっはっはっはっは」

 

 小百合は、噴水の前で男子中学生(矢茸義晴)と仲よく話していた。

根本「きっと親戚の叔父さんかなんかですよ」

ネギ太「あんな若い叔父さんいるか」

根本「います。きっと親戚の叔父さんです」

 手をつなぐ小百合と中学生。

ネギ太「叔父さんが手をつなぐか?」

根本「つなぎます。いまの叔父さんは、手だって足だって何だってつなぐんです。きっとそうなんです」

ネギ太「根本、お前の気持ちも判らなくはないけど…」

 小百合と中学生は、ふたりでアイスを食べる。中学生は小百合にレコードを貸した。仲睦まじいさまを目の当たりにしたネギ太と根本は、ペットントンを殴る蹴る。

 

 ネギ太と根本は、畑家に帰宅。トマトに向かって、

根本「おばさま、きょうのぼくはいつもと違うんです。早く何か食べさせなさい!」

 呆れるトマト。

ネギ太「母さん!根本の言う通りにしてやって」

 怒ったトマトは出かけ、ふたりはペットントンが作ったやきそばやカレー、野菜炒め、ラーメン、うな丼をやけ食い。

 そこへガン太(飛高政幸)がやって来る。ペットントンから小百合が中学生と仲良くしていたことを告げられ、爆笑するガン太。

ガン太「だから女はやめろって、おれがいつも言ってるだろ。女は男をダメにする。女ってそういうやつなんだ。郷ひろみだって、松田聖子に惚れちゃってからヒット曲なくなっただろう。聖徳太子だって言ってるじゃないか。女に惚れちゃったら人生は終わりだって」

 うなずくネギ太と根本。

ガン太「だいたい小学生にもなって、まだ女が好きだとか小百合がかわいいなんて思うの、おかしいぜ。ネギ太も根本も、もう立派な小学生なんだから男を愛さなくちゃ」

 ガン太はネギ太の手を握りしめる。厭がるネギ太。根本は神妙に聞く。

 

 ガン太の要求で、ペットントンは食材を買いに行かされる。

ペットントン「やんなっちゃう…」

 ペットントンが野原動物病院に寄ると、小百合は自室で中学生から借りたレコードを聴いていた。ペットントンに好きな人かと訊かれて、嬉しげな小百合。

小百合「違うわよ、そんなんじゃないの。ただのボーイフレンド!」

 

 肉屋で買い物して帰る途中のペットントンは、また噴水の前で男子中学生にレコードを返す小百合を見かける。

中学生「きょうでなくてもよかったのに」

小百合「いえ、テープに録りましたから」

 見ているペットントン

小百合「あのう、もしよろしければ今晩うちで夕食を」

中学生「小百合ちゃんがつくるの?」

小百合「はい、あまり上手でないと思いますけど」

 だが、彼はこれからデートだった。ショックを受けた小百合は、顔を歪める。

ペットントン「小百合…」

 小百合はひとりブランコに乗り、川沿いを歩く。川面にあの中学生の姿が映って、そして消えた。ペットントンは明るく近づき、ネギ太の家でパーティーをやろうと、小百合を連れて空へ浮かび上がる。

小百合「ペットントン、私いまパーティーなんてする気分じゃ…」

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 畑家では、選挙の候補者のようにたすきをかけたガン太が、力説していた。

ガン太「いいか諸君、女はいけない。女は男の敵である。そりゃあ女は赤ちゃんが産めるかもしれないが、男にだってその気になれば産めないことはない!」

 感動した根本は、ガン太に叫ぶ。

根本「ぼくのお兄さまになってください」

ガン太「ちょ、ちょっと待てよ」

根本「ガン太くん、お兄さまと呼ばせて」

 追いすがる根本に、逃げ惑うガン太。ペットントンと小百合が帰ってくると、畑家ではふすまが外れ、テーブルがひっくり返され、パニック状態に陥っていた。

ネギ太「ペットントン、何とかしてくれよ。このままじゃガンちゃんと根本にうちが壊される!」

 ペットントンはタイムステッキで時間を戻した。そして根本の口にバナナを咥えさせ、その場をごまかす。

 夜になって、トマトたちから外食するという電話があった。畑家では子どもたちだけでパーティーが開かれる。「藁の中の七面鳥」に合わせて、フォークダンスを踊る4人とペットントン。小百合は窓に映る街の灯を見て、一瞬憂い顔になるが、すぐ笑顔に戻るのだった。

 

【感想】

 また根本編で、前回の第33話では小百合の父さんになりきり、今回はガン太に兄になれと迫るというトンデモぶり(でも、こっそり尾行したところを見つかるあたり、まっったくもって憎めない)。公園で唐突にペットントンや小百合に出くわすなど普段にも増して人物が都合よく移動しているが、もしかするとシナリオの理由づけのシーンを削ったのかもしれない。クライマックスのパニックはちょっと無理矢理で、諸々の強引さに笑ってしまう。

 

 展開は荒いけれども、恋に破れたことを知った小百合が噴水のそばで立ち尽くすシーン、小百合がひとりブランコに乗っていると近くをカップルがさりげなく通り過ぎたり、水面に中学生が映ったりするなど、演出には細やかさが感じられる。メガホンを取ったのは、かつて『帰ってきたウルトラマン』(1971)などで傑作をものし、『帰マン』の脚本家・市川森一に「感性豊かな方」と評された冨田義治監督(『帰ってきたウルトラマン大全』〈双葉社〉)。東映作品では、『もりもりぼっくん』(1986)や『超人機メタルダー』(1987)などを手がけた。『ペットントン』では、シューマイとチャーハンが活躍する第30話もまずまずだったが、先例のない無生物の扱いに苦慮していた感もある。だが、今回のエピソードで遂にその本領を発揮した。

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 浦沢義雄脚本にて女性キャラの失恋が描かれたのは、『どきんちょ!ネムリン』(1984)の第1話「おはよう8億年の眠り」や『美少女仮面ポワトリン』(1990)の第36話「お彼岸ライダーの謎」、『うたう!大龍宮城』(1992)の第12話「エイ」などがある(どれも名編だな…)。ちなみに『ポワトリン』『大龍宮城』では、男性キャラの恋も哀しい結果に終わる。個人的な好みも入ってしまうが、トンデモなギャグや台詞で笑わせつつも、少年少女の悲恋をビターに描くこれら諸作はマジで傑出した児童文学・青春文学であると言えよう。

  浦沢脚本で女性キャラがふられる場合、今回のように男性側は概ね無自覚でさほど悪意がないのだが、男性キャラの失恋においては『ポワトリン』第19話「涙の新兵器」や第48話「タクトの恋人」、『大龍宮城』第9話「サメ」など悪女にひっかかってしまうケースも目立つ。このあたりには書き手の女性観が出ていると言えなくもない(『ポワトリン』第46話「冬の星座の嘘」のように善意の女性にふられるパターンも)。

 

 傷心の小百合のシーンでは、ノルウェーの作曲家・グリーグの「ソルヴェイグの歌」が効果的に使われている。同曲は、不思議コメディーシリーズ『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989)の第13話「哀愁の三軒茶屋に霧が降る」でも冒頭に流れていた。

 「藁の中の七面鳥」でフォークダンスを踊るシーンは、『ポワトリン』第8話「ある代議士の陰謀」でもあった(ちなみにオミッチャン役の福原一臣氏がゲスト出演)。

 

 中学生役は矢茸義晴氏。『スパイダーマン』(1978)や『仮面ライダーBLACK』(1987)の第9話(ゲスト)などに出演している。

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