『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第35話「たのしいたのしい宇宙戦争」(1984年6月3日放送 脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)

【ストーリー】

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オミッチャン「おはよう。あたくし?ミッチャン星人のオミッチャン」

 カメラに話しかけるオミッチャン(福原一臣)。オミッチャンが朝から元気に踊っていると、そこへミッチャン星の大統領(声:渡部猛)から、通信が入る。

大統領「あたいはミッチャン星の大統領ですよ。ミッチャン星人、よく聴きなさい」

オミッチャン「はい!」

大統領「昨夜未明、あたいたちミッチャン星政府はジャモラー星政府に宣戦布告を申し入れましたよ」

オミッチャン「何!ミッチャン星とジャモラー星が戦争!?」

大統領「全宇宙のミッチャン星人に命令します。ジャモラー星人をやっつけなさい! では、つづけて音楽をどうぞ」

 

 オミッチャンは畑家の敷地に現れる。

オミッチャン「本日は晴天なり本日は晴天なり、ただいまマイクの試験中ただいまマイクの試験中、ああああ、オッケー。出ていらっしゃい、ジャモラー!」

 朝っぱらから、大音量で叫ぶオミッチャン。起き出したセロリ(斎藤晴彦)が文句を言う。眠そうなペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)やネギ太(高橋利安)、ナス夫(佐渡稔)、トマト(東啓子)。

オミッチャン「ミッチャン星とジャモラー星がお戦争になったんですのよ」

セロリ「お戦争?」

 オミッチャンはイイイイと哄笑しながら「出て来い、ジャモラー!」と叫ぶ。セロリに「変な宇宙人、外へ出しなさいよ」と命じられたペットントンはオミッチャンを追い出す。

オミッチャン「お戦争よ、戦争よ!」

セロリ「さあ、みなさん。もう一度ゆっくり寝ましょうね。回れ、右!」

 規則正しく、中へ戻っていくネギ太とナス夫、トマト。だが窓を閉められ、セロリは中へ入れない。

 

 ペットントンはオミッチャンを縛り上げて公園に放置。寝ぼけたペットントンは、ジャモラー(声:八代駿)に襲われるが、ジャモラーを押しつぶしてその場で寝てしまう。

ジャモラー「こらペットントン、おれ枕じゃないぞ」

 

 数時間後、ガン太(飛高政幸)はネギ太を8ミリで撮影するため、ポーズをとらせていた。

ガン太「なんかこう、美しいネギ太の青春って感じでさ」

ネギ太「ガンちゃん、そんなこと言われても」

ガン太「ネギ太、脱ごうか?」

 

オミッチャン「助けてー誰か助けて! あ、あ、小百合ちゃん!」

 縛られているオミッチャンの前を通りがかった小百合(川口智子)に、オミッチャンは開戦の話をする。

オミッチャン「何よ、その人を疑るような目は。全く、少しばかり私よりかわいいからって。あんた、生意気よ」

小百合「生意気で結構。あんたなんか大嫌い」

オミッチャン「私も嫌い」

 そこで小百合は、ほどいてあげずに放置。

 

小百合「いま、ミッチャン星とジャモラー星が戦争してるの」

ネギ太「ああ、それなら知ってる」

 小百合は、8ミリでオミッチャンとジャモラーの戦争ドキュメンタリー映画を撮ろうと提案。友だちの輪のお告げによりペットントンが監督に就任する。

ペットントン「みんな、位置について」

 戦争映画の撮影がスタートするも、オミッチャンとジャモラーの戦争とはただの“にらめっこ”であった。

オミッチャン「ばー」

 まるで盛り上がらない。

ガン太「監督、これじゃ戦争じゃなくてただのにらめっこ」

ペットントン「宇宙の戦争はみんなにらめっこムニェ」

小百合「うっそー」

ペットントン「ほんと」

ネギ太「これじゃ映画にならないじゃないか」

 ガン太たちはもっと過激な演出を要求。プロレスで雌雄を決することになった。

 

 空き地にプロレスのリングが用意できた。ペットントン監督は、レフェリーをさがしてくるよう命じる。

 ネギ太たちは、ラーメン屋のマサト(高木政人)に依頼するが、引き受けたマサトは店の主人に殴られてしまう。そこで向かいのおじさん(木村修)に依頼する。

おじさん「おじさんね、一度戦争のレフェリーってやつ、やってみたかったんだ」

 だがおじさんは奥さんに引っ掻かれる。

 

 リングの前を通りがかった警官(高橋等)は、ペットントンに戦争と聞いて、慌てて119番で救急車を呼ぶ。結局、レフェリーなしでプロレスが始まり、壮絶な肉弾戦を繰りひろげるオミッチャンとジャモラー。そこへ救急車が。

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救急隊員A「あなたですか。戦争をしようとしてるおかしな宇宙人をふたりつかまえたと、知らせてきた警官は」

警官「ええ、あのふたりの宇宙人がそうなんです」

救急隊員B「はい、手を出して(警官に手錠をかける)」

救急隊員A「早くつかまえろ。それ。さ、行きましょうね」

警官「私に手錠かけないで!」

救急隊員B「戦争ごっこはやめにして、あの車に乗って」

救急隊員A「今度はお医者さんごっこにしましょう」

 連れて行かれる警官。

警官「私は正常で!」

 驚く一同。

 

 みなは畑家へ行く。

セロリ「うちで戦争やりたい!?」

オミッチャン「お願いやらせて、ね」

ジャモラー「お願いジャモラー」

ナス夫「冗談じゃありませんよ!」

 セロリたちは固辞。だが大統領から「ここで嬉しいお知らせよ」と通信が入り、戦争に協力した家庭にはミッチャン星政府からプレゼントがあると大統領に告げられる。セロリは翻意。

セロリ「どうぞ自由に戦争してくださいね。もう家具なんかバンバカバンバカ壊しちゃってかまいませんから」

 セロリたちは、パチンコ屋やゴルフ、ショッピングに疎開するという。

一同「ああ、そーかい」

 メイクをしたオミッチャンと毛を整えたジャモラーの戦いがふたたび始まるが、ペットントンはうるさく注文をつける。

ペットントン「ダメムニェ、もっと激しく、激しく」

オミッチャン「ちょっと待ってよ、ペットントン。あんたたちが戦争映画撮るのは勝手だけど、私たちは真剣に戦争してるのよ」

 「監督はいちばん偉い」というペットントン。オミッチャンとジャモラーは怒り、一時休戦してペットントンと喧嘩に。外へ出たペットントンとオミッチャンたちは追っかけっこを展開。

 

 ペットントンとオミッチャンたちが畑家へ戻ってくると、戦争映画は中止だという。

小百合「ええ、かわりにオミッチャンとジャモラーのラブロマンス映画にしようと思うの」

オミッチャン「ラブロマンス!?」

ネギ太「ぼくは、ラブロマンスより文学作品のほうが」

 ガン太は芸術作品を主張し、3人は諍いに。

オミッチャン「庭行って戦争しましょ」

 だが3人は庭まで出てきて喧嘩。

オミッチャン「もう、落ち着いて戦争もできやしない」

 庭でオミッチャンとジャモラーがにらみ合っていると、ベランダではネギ太たちがまくらで叩き合い、飛び出した羽毛が雪のように降り積む。ペットントンはタイムステッキで時間を戻す。

 そこへミッチャン星大統領からのお知らせで、政府の話し合いで戦争は終結したことが判明。

大統領「全宇宙のミッチャン星人、ジャモラー星人と仲良く愛し合うように。愛は全宇宙を救いますよ」

 オミッチャンはその場を逃げ出す。

 

 夜になって、みなは畑家の庭でバーベキューをしていた。

ナス夫「まったく、最近の宇宙人は何を考えてんだ」

トマト「あ、プレゼントのほう、どうなっちゃったんでしょうね」

 すると、またオミッチャンが「お待たせー」と現れる。

オミッチャン「スイッチ、オン!」

 ミッチャン星政府からのプレゼントとは、ミッチャン星大統領が「宇宙カラオケで鍛えた素晴らしい唄」であり、高速の音頭が流れ出す。みなは踊りながらオミッチャンをはたくのだった。

 

【感想】

 3度目のオミッチャン篇。前2回と趣向を変えて、オミッチャンとジャモラーが戦うという内容になっている(オミッチャンとジャモラーの対立は第28話でもわずかに描かれていた)。どこまでアドリブなのか判らないが、全編に渡ってトンデモ台詞が多い奇作。警官が捕まるシーンで、「私は正常!」と叫ぶあたり、いまではできないねただろう。

 

 オミッチャン役の福原一臣氏は、イイイイという奇怪な笑い声で熱演。ジャモラーとの取っ組み合いは、ひとり芝居で凄まじい。福原氏と同じ劇団黒テントに所属したセロリ役の斎藤晴彦氏との共演も、実に愉しい。

 ミッチャン星大統領役は、『科学戦隊ダイナマン』(1983)、『超人機メタルダー』(1987)、『高速戦隊ターボレンジャー』(1989)、『重甲ビーファイター』(1995)など多数の東映作品で悪の首領の声を演じた渡部猛氏(『メタルダー』第1話の長台詞は圧倒的な迫力だった)。それらはシリアスで重厚な声だったが、不思議コメディーシリーズの『ロボット8ちゃん』(1982)や『バッテンロボ丸』(1983)では別人のようなコミカルな役どころを好演。この大統領役は、裏声のような演技で笑わせる。

 今回はジャモラーも出ずっぱりで、声の八代駿氏が快演。彼ら癖のある演技巧者の芝居合戦には魅了される(4人とも鬼籍に入ってしまった)。

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 前半のロケ地は、これで4度目の登場となる所沢の航空記念公園。

 

 後半ではペットントンとオミッチャン、ジャモラーが追っかけっこを展開。追っかけっこは何度も描かれているので、今回の坂本太郎演出はワンカットでビルを駆け上がったり降りたりするという趣向を凝らしている。小百合役の川口智子氏がワンカットで早着替えをするのが坂本演出の第31話でもあったが、坂本監督のこだわりかもしれない。ベランダでネギ太たちがまくらの叩き合いになり、飛び出した羽毛が大雪のようにオミッチャンとジャモラーに降りそそぐシーンも才気を感じさせる。

 

 ラストのバーベキューのシーンでは、前回につづいてセロリとガン太の確執がさりげなく描かれ、芸が細かい。

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