『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第33話「パパになった根本君」(1984年5月20日放送 脚本:浦沢義雄 監督:加藤盟)

【ストーリー】

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 早朝からナス夫(佐渡稔)と野原院長(奥村公延)はゴルフへ。寝ぼけ顔のトマト(東啓子)とネギ太(高橋利安)、ペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)は見送る。そこへセロリ(斎藤晴彦)が「チャリーン!」と乱入。

 朝っぱらからセロリとナス夫、野原院長は玄関先で大騒ぎ。

トマト「お大事に」

 ナス夫は「グリーンで青木が待ってるから」と取りなし、3人はゴルフへ出発。

 

 ペットントンがボートでうたた寝していると、根本(玉木潤)がオールでぶっ叩いてくる。

根本「はっはっはっはっは。いやごめんごめん、ペットントンくん。あんまり気持ち良さそうに昼寝していたもんだから、思わず殴ってしまいましたよ」

 怒るペットントン。根本はペットントンにつきまとう。

根本「ペットントンくん、それにしても君の瞳は濁ってますね。それにひきかえぼくの瞳の澄んでいること、見てください、輝きさえあるでしょう。きらきらきらきらきらー」

ペットントン「ムニェー?」

根本「それというのもぼくが小百合さんを真剣に愛しているからなんだ!」

 

 ペットントンが神社で昼寝していると、サッカーボールに化けたジャモラー(声:八代駿)が襲来。ジャモラーはペットントンに噛みつき、歯が抜けてしまう。

ジャモラー「ジャモラーの歯、フンガ、フンガ」

 悶絶して去るジャモラー。噛みつかれたペットントンも痛がる。根本はペットントンを殴り、「これとどっちが痛いですか」と挑発。ふたりはどつき合いに。

根本「何をするんだ、三流宇宙生物。ぼくは地球の根本くんだ!」

 

 ペットントンは、野原動物病院へ。野原院長は不在なので、小百合(川口智子)が負傷したペットントンを診察。根本もいる。

根本「小百合さん、そんなやつ絆創膏でも貼っときゃいいんですよ」

小百合「ふん。ペットントン、これ以上悪くなったらうちに入院してもいいのよ。よしよし」

 小百合は根本に冷たく、ペットントンに優しい。

根本「小百合さん、ぼくも入院したい」

小百合「だめ、うちは動物病院だから人間はお断りでーす」

根本「じゃあぼく、きょうからネコになります」

 根本はネコのポーズ。青い光が差し込み、小百合は怖がる。

 

 畑家では、ガン太(飛高政幸)がネギ太に迫っていた。

ガン太「はいお待ちどうさま。ネギ太ちゃん」

 ガン太はごはんを山盛りに。

ガン太「おれ、ネギ太が幸せそうに食べてるとこ見ると、お腹いっぱいになっちゃうの」

トマト「あ、そう…」

 微笑むガン太に、ネギ太は「目がつぶれる…」。そこへ小百合から電話がかかってくる。

ネギ太「え、根本がネコになって、動物病院に入院したいって?」

 

 野原動物病院では、ネコになった根本が厭がる小百合を追い回していた。

根本「ぼくはネコ、ニャーオ。病気のネコ、ニャーオ。哀れなネコ、ニャーオ

 やって来たネギ太は「ぼくは犬、ワンワン」と言い出す。ガン太も来る。

小百合「ガンちゃん、ちょっと助けて」

ガン太「おれはブタ。ブーブー」

 動物と化した根本、ネギ太、ガン太が診察室で跳ね回る。

小百合「ペットントン、この3人どうにかして!」

 ペットントンは消火器を吹き付けて、動物になりきる3人を追い出した。ネギ太と根本は白くなっても「ニャーオ」「ワンワン」とつづける。

ガン太「お前たち、いつまでやってんだ」

 ガン太はネギ太を連れて行く。

 

 診察室であきれ顔の小百合。

小百合「ネギ太くんもガンちゃんも、悪い子じゃないんだけどね」

ペットントン「ムニェ」

小百合「図に乗るっていうの? ときどきつき合いきれなくなっちゃうのよね」

 ペットントンは、疲れた小百合の肩を叩く。

ペットントン「♪ペットン お肩をたたきましょう〜ペットンペットンペットントン

 根本はまた来て、ペットントンを押しくって肩叩きを代わる。

小百合「上手ね、ペットントン

 小百合が振り向くと、根本の満面の笑顔。きゃーっと叫ぶ小百合。

根本「小百合さん、どうしてぼくと会うとあんなに恥ずかしがるのかな」

 小百合は道着を着て、「面!」と竹刀で逆襲。逃げ回る根本。

根本「小百合さん、そんなに興奮しないで。婚期を失いますよ」

小百合「言ったわね!」

 

 公園で、激怒した小百合が根本を追いかける。その横で、ガン太は「ネギ太、遊ぼうよ」とネギ太につきまとっていた。

ガン太「もうお前のこと離さない」

 ガン太はネギ太にコブラツイストをかける。ペットントンはレフリー。

 

 小百合に追いつめられた根本。

小百合「覚悟しろ!」

根本「はっはっはっはっは」

小百合「だめよ、笑ってごまかしても」

根本「そうですか」

 泣き出す根本。

小百合「泣いてもだめ!」

 小百合は根本の首に竹刀を押し当てる。

根本「ぼくの泣き顔って哀れみ誘いません?」

小百合「誘わない!」

根本「判りました。ぼくも男です。喜んでセルフサービスで殴られましょう」

小百合「嘘…」

 根本は自らを竹刀で殴り始める。

根本「いいでしょいいでしょ。この際思い切ってサービスしちゃいましょ」

 自分を殴りまくる根本。

小百合「気持ち悪い…」

 

 ガン太はネギ太を締め上げていた。「やったー勝った勝った」と喜ぶガン太。「おめでとおめでと」とペットントン。そこへ小百合が来て、「根本くんが…」と卒倒。

ペットントン「ワン、ツー、ペットントンの勝ち!」

 

 根本は自分を殴りつづけていた。ペットントンは慌てて止める。茫然自失の根本。

根本「小百合さんのボーイフレンドとして失格したぼくは、これから先どうやって生きればいいんだろうか」

 根本は、ペットントンの友だちの輪を奪い、“小百合のお父さんになって生きる”というアイディアをもらう。

 

 畑家にて話を聞いたトマト。

トマト「それ絶対におかしいわ」

ペットントン「ムニャでしょ?」

トマト「やっぱりさ、ジャモラーに噛まれたときにおかしくなっちゃったんじゃないの」

 

 お父さんの扮装をした根本が、野原動物病院に押し掛けてきた。

根本「これ小百合、お父さんが写真を撮ってやる」

小百合「やめてよ!」

 さしものガン太も唖然。ネギ太に呼ばれて来たペットントンは、根本を追い出す。

根本「そうかそうか、小百合は写真が嫌いなんだね。こりゃ父さんが悪かった。はっはっはっはっは」

ペットントン「いいからもうムニェ」

 根本が外で押し出されると、そこへそば屋のマサト(高木政人)が通りかかる。

根本「いやどうも、小百合がいつもお世話になっております」

 驚くマサト。

 

小百合「冗談じゃないわ。あの子、私に両親にいないことをバカにして」

ペットントン「違う違うよ」

ガン太「おれも違うと思う。根本は根本なりになんとか小百合に近づこうと思って」

 父さんになった根本がまた来る。

小百合「また?」

根本「さ、お父さんが小遣いをあげよう」

 根本は一円玉の詰まった瓶を持ってきた。ネギ太は根本から小遣いを奪い、ぶちまける。

根本「そうかそうか、小百合はまだ小遣いがいっぱいあるんだね。こりゃ父さんが悪かった。はっはっはっはっは」

ペットントン「出てけー」

 根本が外へ押し出されると、そこを向かいのおじさん(木村修)が通りかかる。

根本「きみ、今後とも小百合のことよろしく頼むよ。はっはっはっはっは」

 怪訝そうなおじさん。

 

小百合「根本くんが私のパパなんて、絶対厭!」

 小百合は激しく泣く。根本はまた現れる。

根本「誰だ、私の大事な小百合を泣かせたやつは!成敗してくれる」

 ハンマーを持った根本は暴れる。だがペットントンのタイムステッキも故障中だった。根本は、逃げるネギ太とガン太を追いかけていく。

 

 暴れる根本はホースで水をまき散らす。公園はパニック状態に。ペットントンは、故障していまいち調子が良くないタイムステッキを叩きつけた。

ペットントン「直ったムニェ」

 噴水が吹き上がり、みなは金魚を捕り始め、何となく事態は収拾された。

ペットントン「もう大丈夫。根本、子どもに返ったよ」

小百合「ペットントン、ありがとう」

 

 夜になって、畑家でナス夫とトマト、セロリ、野原院長が飲んでいた。ネギ太や小百合たちは横で食事中。

トマト「今度は小百合ちゃんのお母さんになりたいなんて言い出すんじゃないかしら」

 小百合は「まさか」と笑う。

野原院長「あの子ならありうるぞ」

 そこへ「おほほほほ」という声。お母さんになった根本が現れた。

根本「よく判りましたね。小百合ちゃん」

 逃げ惑う一同。

 

【感想】

 根本の暴走が本格的に始まる回(前回登場した第29話ではむしろ根本に同情してしまうくらいだったが、今回は小百合が気の毒)。根本はネコになり、果てはお父さん化するという怪行動に出る。『美少女仮面ポワトリン』(1990)、『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993)などの後年の浦沢義雄脚本作品では奇矯な行動に出る怪人が頻出するが、今回の根本はその先鞭かもしれない。『特撮ヒーローの常識 80年代篇』(双葉社)など、根本については「根が暗い」などと書かれている資料?を目にするが、今回などを見ると明るいとか暗いとかそういう次元ではなく、まごうことなきサイコである。

 

 根本がネコになりきるシーンでは、青い光が部屋に立ちこめ、同じ加藤盟演出の第28話でのオミッチャンが襲ってくるシーンのライティングを彷彿とさせる。

 クライマックスでは暴れる根本がホースで水をまき散らし、木を剪定中の人は水をぶっかけられてハシゴから転落。ローラースケートに乗った男、テニスをする女たち、風船を持ったおじさんも水をかけられる。他の根本篇と同様、今回もクライマックスで根本が暴れて乱闘になる。

 小百合には「両親がいない」ことが本人の台詞で明言されたが、この設定についてはその後詳しく説明されることはなかった(作り手たちも、その後忘れてしまったのかもしれない)。浦沢義雄先生は自らの創作姿勢について「(登場人物の)心を描かない」と豪語?しているけれども、こんな意味ありげな設定をしておきながらろくに触れないというのはすごい。

 ラストの落ちは、10年後の『シュシュトリアン』の第14話「シュシュトリアンの父現わる!?」を思わせる。

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 怪演する根本やガン太といった子どもたちが目立っているけれども、冒頭のセロリたち3人の喧嘩はやりたい放題。トマトは、さりげなく含蓄の深い発言をした第14話につづいて友だちの輪が壊れたのを説明する重要な台詞を担当。

 

 根本は「婚期」と言っているが、次作『どきんちょ!ネムリン』第6話にも「小学校4年生の女の子が人生ゲームなんかやって婚期が遅れたらどうしてくれるのよ」という台詞がある。

 

 いままで蹴られても笑顔のままだったジャモラーは、歯が抜けて泣きそうな顔に。ジャモラーがこの顔になったのは、シリーズを通じてわずか2度くらいだった。根本のすさまさじさに押されて目立たないが、ペットントンの髪を宙に浮いた歯が挟んでいるのはかなりのインパクト。

 

 登場人物たちの奇人ぶりは、今後ますます悪化?の一途をたどっていく。

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