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『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第31話「クリームあんみつ小百合姫」(1984年5月6日放送 脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)

【ストーリー】

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 ある昼下がり、畑家ではエアポケットのような倦怠した時間が流れていた。庭でぼーっとするネギ太(高橋利安)とガン太(飛高政幸)、居眠りするペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)。ガン太が唐突にかくれんぼを提案。鬼になったペットントンが外へ出て、レストラン“Yesterday”の前で数えていると、通りがかった小百合(川口智子)にぶつかる。

 チョコレートがこぼれた。

 公園で小百合にチョコレートをもらったペットントンは喜ぶ。

 畑家では、買い物したセロリ(斎藤晴彦)とナス夫(佐渡稔)、トマト(東啓子)が帰宅。ナス夫は荷物を持たされてお疲れ。セロリとトマトが押し入れや棚を開けると、かくれんぼしていたネギ太とガン太が出てくる。驚くセロリとトマト。

 

 ペットントンはかくれんぼを放り出して、小百合といっしょにおいしいチョコレートを売っているという店を訪ねた。奇妙な主人(石塚信之)が振り向く。

小百合「あの人がつくってるのかしら」

 ずかずか入っていくペットントン

小百合「ペットントン、やめなさいよ」

 

 畑家ではナス夫の「かくれんぼは外でやりましょう!」のかけ声と「運命」をバックに、セロリとトマトがダダダダーンと踊るようにネギ太とガン太のおしりを叩いていた。

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 チョコレート屋の奥で、主人がチョコレートをつくっていた。障子の穴からのぞくペットントンと小百合。主人のメガネが光る。

 いつしかペットントンと小百合は、昔の城の中にタイムスリップしていた。どろんとネギ太とガン太にそっくりな忍者(高橋利安、飛高政幸)が現れる。

小百合「ネギ太くんにガンちゃん。どうしたの、そのかっこう?」

 忍者は、手裏剣で攻撃してくる。

ネギ太忍者「小百合姫

ガン太忍者「お命頂戴」

 「お家のためでござる」と追ってくる忍者から小百合が逃げると、今度は小百合そっくりな姫が「そなたは誰じゃ」と出てくる。

ペットントン「小百合ー、どうしたの」

 姫は「無礼者!」とペットントンをはたく。小百合によく似た小百合姫(川口智子)であった。

 城内には、さっきの主人が侍の格好で歩いていた。ペットントンと小百合姫が追って行くと、またメガネが光る。今度は、ふたりは現代へタイムスリップ。

 ペットントン「さっきは昔。ここはいま」

 新宿のビル街が見える公園にいるペットントンと小百合姫の前に、ジャモラー(声:八代駿)が出現。逃げ回るペットントン

百合姫「何じゃ、これは」

ジャモラー「ぼく、ジャモラーよ(とウィンク)」

百合姫「しゃべる蹴鞠か。なんだ、あっちへ行け」

 小百合姫はジャモラーを蹴飛ばす。

ジャモラー「いたいなあ」

 

 小百合姫ペットントンは後楽園ゆうえんちを堪能。ジェットコースターやコーヒーカップを愉しむ。

百合姫「いまのほうが断然おもしろそうじゃ。コーラやホットドッグはおいしいし、遊園地は最高!」

 

 小百合姫は、橋の上で悲しげな顔になった。

百合姫「でもわらわ、昔に戻れば、またあの悪い忍者に狙われるのじゃ。何がお家のためじゃ。何がお命頂戴じゃ。命に“お”なんかつけちゃって厭らしい。そう思わぬか、ペットントン?」

ペットントン「ムニュ」

百合姫「わらわ、いまのほうが好き」

 ペットントンは、友だちの輪のアイディアで、昔を愉しく生きるにはもっと強くなればいいと言う。

百合姫「でも無理じゃ。女はもともと弱いもの」

ペットントン「違う違う、違う違うよ」

 現代では列に横入りしようとした不良を女子高生がなぎ倒したり、お触りしようとした男に女が怒ったり、奥さんが旦那をベランダから突き落としたりしていた。

百合姫「なるほど、いまというところは女のほうが強いところなのじゃな」

 

 そこへネギ太とガン太がやって来る。

ネギ太「小百合ちゃん。どうしたの、そのかっこう?」

 かくれんぼをすっぽかされたガン太は怒っている。

ガン太「ペットントン。おれたち、お前のおかげで」

 小百合姫は、「よくもいままでわらわのことを」と短刀で斬りかかる。驚いたネギ太とガン太は、ペットントンの手で小百合姫を縛って逃げる。

ガン太「ネギ太、だからいつもおれが言ってるだろう。女は信じるなって。女を信じてダメになった男はいっぱいいるんだ」

 ガン太はネギ太の手を握る。

ネギ太「やめてよ、ガンちゃん!」

 ガン太はネギ太に迫り始める。小百合姫はまたふたりを追いかけてきた。3人は畑家に入ってきてナス夫やトマト、セロリも巻き込んでパニックに。

百合姫「くやしー」

 ペットントンはタイムステッキで時間を戻すと、畑家の前で交通整理してパニックを未然に防いだ。

 

 小百合姫たち3人がレストラン“Yesterday”へ入っていった直後に、中から小百合が出てくる。

小百合「あ、ペットントン、どこ行ってたの?」

ペットントン「ムニェー!?」

小百合「やんなっちゃうよ。ネギ太くんとガンちゃんがしつこくって」

 小百合は、ネギ太忍者とガン太忍者に追われていた。

 

 小百合と忍者が行ってしまうと、中から小百合姫が現れる。

百合姫「もう大丈夫じゃ。わらわは本当に強くなったぞ。もう怖いものなしじゃ」

 ネギ太忍者とガン太忍者が、「姫、お覚悟!」と迫ってくる。

百合姫「悪者忍者、成敗してくれる」

 小百合姫は忍者を追い払った。

百合姫ペットントン、そろそろわらわも昔に帰るから、そなたもいまでがんばるのじゃ。さらば!」

 小百合姫がレストランの中へ去っていくと、即座に中から小百合が現れる。驚くペットントン

小百合「あのふたり、何考えてるのかしら」

 ネギ太、ガン太も来る。

ネギ太「いつの間に着替えたの?」

小百合「それを言いたいのは私よ」

ガン太「お前、ちょっと勘違いしてるんじゃないの」

 小百合は怒り出し、ネギ太とガン太につかみかかる。逃げるネギ太とガン太。

小百合「くやしー」

 小百合はペットントンにぶつかる。

 またチョコレートがこぼれた。

 

 ペットントンは、ひとりであのチョコレートへ行った。だが、店は空き地になっていた。

ペットントン「お店、ない」

 帰るペットントンは、レストラン“Yesterday”の前を通り過ぎる。店の前で、チョコレート屋のあの奇妙なメガネの主人がひとり笑っていた。

 

【感想】

 第28話につづいてまた小百合のフィーチャー回。小百合は第29話で根本に対してかなり冷酷だったので、埋め合わせになった感がある(その後の話でまた冷たくなるけれど…)。

 いつもの面々がパラレル的に他のキャラで出てくるというのは第26話でもあったが、それほど間を置かずにまたやるというのも珍しい。当時のキャスト・スタッフが乗りのよさが伺える。特に今回の坂本太郎演出は幻想味と怪しさを巧みに醸しだしていて、いつものコミカルさも盛り込んでいて素晴らしく、『ペットントン』の坂本作品としては第40話に並ぶベストワークではないだろうか(浦沢義雄脚本の色は濃くないけれども、女が強いとかゲイねたとかをさりげなく入れるあたりはいかにも)。

 序盤の庭の茫洋とした場面から、坂本演出は冴え渡る。不思議な店のある町並みもロケが効果的。そして「運命」が鳴り響き、ナス夫の指揮に合わせてセロリとトマトが踊るようにネギ太とガン太のおしりを叩く! 第25話のおしり叩きの場面もすごかったがあちらはシナリオによるところが大きく、今回は演出や役者の悪乗りではないか(後半に畑家の中でパニックになる場面では、セロリは「ブラジャー!」と叫び、ナス夫は服が脱げている)。

 浦沢脚本 × 坂本演出では『美少女仮面ポワトリン』(1990)の第24話「シュミット将軍の店」、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)の第14話「いまも交通安全」や第24話「愚かな地球人」などでクラシック曲が使われて効果を上げていた。特に『ポワトリン』第24話は、怪奇幻想の色合いが強くこの第31話と通じる感覚がある。

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 奇妙な男役を怪演した石塚信之氏は、第16話ではギャング役で出演。第42話にも今回と同じ役で登場する。大野剣友会所属で、不思議コメディーシリーズの『バッテンロボ丸』(1982)や次作『どきんちょ!ネムリン』(1984)ではキャラクターアクション(スーツアクター)を務めた。

 

 チョコレートの店のある町は埼玉県川越市で、他にさまざまな映画やテレビでロケが行われている。タイムスリップした先は新宿中央公園で、新宿三井ビルなどが見える。後楽園ゆうえんちは、第41話でも使われている。レストランの“Yesterday”は80年代にあったチェーン店だが、どこの店舗かは不明(東映の『時空戦士スピルバン』〈1986〉の第35話にも登場)。

 

 ラスト間際で小百合姫がレストランに入った直後に小百合が出てくるシーンは舞台のような早着替え。こういう工夫も愉しい。同じ坂本演出の第7話には部屋に入ったネギ太たちがぼろぼろにされて出てくる件りがあり、カメラを一旦止めていたが、もしかすると監督は早着替えをやりたかったのかもしれない。今回はワンカットで川口智子氏が小百合姫から小百合に変身して、成功していた。

 

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