第27話「ガン太番長大ピンチ!!」(1984年4月8日放送 脚本:浦沢義雄 監督:加藤盟)
【ストーリー】
昼食はラーメンか寿司か、行ったり来たりして延々迷う野原院長(奥村公延)。おかげでラーメン屋(高木政人)と寿司屋に「いい加減にして!」と怒られる。そこへ「ハーイ、ノハラ」と現れたペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)。ペットントンの友だちの輪のお告げにより、院長はラーメン屋でビーフストロガロフを頼む。
ラーメン屋「うちはラーメン屋ですよ!そんなものができるわけないでしょ!」
院長はまた怒られる。嘲笑するペットントン。
ペットントン「やったやった」
上機嫌のペットントンは、道で巨体の小学生に遭遇。彼は電柱をへし折って、放り投げ、歩み去って行った。隣町の番長・アンギラス(山本保夫)であった。空から降下してくるジャモラー(声:八代駿)。
ジャモラー「レポーターの報告によりますと、何でもとっても強くて二子山部屋と新日本プロレスからスカウトされてるって噂です」
なぜかレポートしたジャモラーが、「そろそろ始めようかね」と、ペットントンを襲う。その場にいた悪ガキ3人組は、「ペットントンにやらせよう」と何か思いついた様子。
学校帰りのネギ太(高橋利安)は、小百合(川口智子)と別れたところをガン太(飛高政幸)につかまる。ガン太は、お前のヘアスタイルを直してやると言い出す。
ガン太「照れてやんの。かわいい」
嫌がるネギ太の髪にカーラーが付けられる。
ガン太「お前、人の好意を素直に受けられないの。そういう少年だったの」
馬乗りになるガン太を、ネギ太は思わず殴る。吹っ飛んだガン太。
ガン太「とっても、いいパンチだった♡」
ペットントンは、番長になってくれと小学生の悪ガキ3人組の依頼を受けていた。それを見たガン太は、学級委員の選挙に落ちたからと自分から番長を買って出る。
畑家ではナス夫(佐渡稔)とトマト(東啓子)、セロリ(斎藤晴彦)、ペットントンが食卓のおかずを奪い合っていた。帰宅したネギ太は、ガン太のせいでパーマをかけたような頭になっている。驚く一同。
ガン太はちり紙交換のマイクを奪って宣言。
ガン太「ご町内のみなさま、こんにちは。ぼくは関町小学校の林ガン太です」
おつかい中に、スキップしながら通りがかった小百合。
小百合「ガンちゃん?」
ガン太「ぼくはきょうから健全な少年を止めて、番長になります!」
小百合は止めに入る。
小百合「すみません。あの子最近、頭が水虫なんです」
悪ガキ3人組は「ガン太のやつ、ばかじゃないか」などと話していた。ガン太をおだてて、自分たちの代わりに番長のガン太を隣町のアンギラスと決闘させようと企んでいるのだ。立ち聞きしたペットントンは慌てる。
3人組はガン太に、ホットドッグとハンバーガーを貢いでいた。すっかりアンギラスと決闘する気のガン太は、マイクで叫ぶ。
ガン太「お前も知ってるようにクラスの委員長選挙、おれ落ちただろう? 落ちるよな、入ったの、おれの一票だけだもん。委員長になれなかったから番長になる! おれ、そういう人生、あってもいいと思う!」
3人組「そうだ、その通り!」
ガン太「ありがとう、ありがとう!」
ペットントンは忠告する
ペットントン「ガン太、だまされトントン」
だがガン太は、悪ガキ3人組の狙いを見抜いていた。隣町の番長にやられることで同情を買い、「悲劇のヒーローになってネギ太のハートを奪う」のだという。「へへー」と笑うガン太。
ガン太「どうせやられるんだったら、かっこよくやられなくっちゃな」
ガン太は負ける特訓を始める。
ペットントン「ムニムニ、感激」
野原動物病院で、小百合は涙する。
小百合「小百合、感動しちゃった」
ペットントンも泣く。
小百合「ガンちゃんって、そんなにロマンチストだったの。ネギ太くん」
ネギ太「何?」
小百合「この際思い切って、ハートを奪われちゃいなさいよ」
うなずくペットントン。小百合は、ガン太にハートを奪われたネギ太を思い浮かべる。
小百合「ステキだわ」
「どうしよどうしよ」と焦るネギ太は、いいアイディアを思いつく。
ネギ太「ガンちゃんが勝てばいいんだ。そうすればぼくのハートは奪われなくて済む」
そして迎えた決闘のとき。吼えるアンギラス。
ガン太「お前と戦う前にちょっと解決しておかなきゃいけない問題があるんだ」
ガン太は悪ガキ3人組に向き直る。
ガン太「よくもおれをだましたな。アンギラスと戦う前に、お前たちを叩きのめしてやる」
ガン太はまず悪ガキにやられ、その後アンギラスにボコされるという、「悲劇のヒーローダブル効果」を狙っていた。3人組とつかみ合いになるガン太。
しかしペットントンとネギ太、小百合がやって来る。
ペットントン「慌てない、慌てない」
ペットントンたちはつまずかせ、ボールをぶつけ、体当たりをして悪ガキ3人組を制裁する。逃げ出す3人組。
ガン太「そりゃないだろ、待ってよ!」
帰ろうとするアンギラス。どうしても悲劇のヒーローになるつもりのガン太は、「バーカバーカ」とアンギラスを執拗に挑発。ドラム缶を投げつけ、暴れ出すアンギラス。
ペットントンはタイムステッキを使い、結局アンギラスはドラム缶の下敷きになって号泣。
ガン太「ネギ太のハートが!」
ガン太の試みは失敗に終わるのだった。
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【感想】
ガン太主役で、子どもたちメインの傑作エピソード。ガン太がネギ太を愛している設定がこれでもかとばかりに強調され、遂に小百合もBLっぽい妄想にふける。子どもたちの大活躍に見ていて笑いが止まらなくなるが、『東京からきた女の子』(1978)や『オバケちゃん』(1987)など児童映画も撮っている加藤盟監督は、やはり子役の演出に長けているのだろう。この27話のような子ども主体でその動静が描かれるという形式はNHKの教育番組ならあるのかもしれないけれども、エンタテインメント性のある子どもドラマは昨今のテレビや映画ではほとんどなくなってしまった(アニメならあるのかな)。今回は、意外と古き良き子ども番組のモデルと言えるかもしれない。 このような30分単位のドラマ枠が近年は少ないという点も、このエピソードの郷愁をそそる。
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ガン太役の飛高政幸氏は、もちろん快演で、特に今回の演技は天才的。子どもたちは冒頭からラストまで同じ服だったけれども、これだけの事件が1日(放課後の数時間)に起きていたのだろうか?(大体いつも2話連続で同じ服なのだが)
子どもメインとは言え、ナス夫たち大人にも出番はちゃんとあり、特に畑家でのおかずの争奪戦の場面はおそらくアドリブだろう。細かいところだけれども、ガン太にめちゃくちゃにされたネギ太の髪を畑家のみなが直すシーンでも、痛がるネギ太にナス夫が「笑いなさい!」と命じ、無理に笑うネギ太にセロリが「努力は認める」と言うシーンもさりげない切れ味(これもアドリブかな)。スタートから半年を経て、キャストも乗りに乗っているのが伺えて愉しい。
ナス夫はネギ太の帰宅より前に自宅にいたが、代休なのだろうか(第25話などいつもナス夫は早めに帰ってくるのだが、第38話ではナス夫が明るいうちに帰宅した際、「早かったわね」とトマトに言われていた)。
ジャモラーはレポーターのような喋り方で登場。
ペットントンのスーツアクター・高木政人氏演じるマサトはそば屋だったはずだが、今回はラーメン屋。
アンギラス役の山本保夫氏は、不思議コメディーシリーズの『バッテンロボ丸』(1983)の第31話「どうなる?! 恋の三角関係」にも出演。『ロボ丸』では学生服を着ていたが、今回は小学生役(!)。
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