『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第21話「獣医さんはピカピカ美青年」(1984年2月26日放送 脚本:浦沢義雄 監督:加藤盟)

【ストーリー】

 神社の前で、セロリ(斎藤晴彦)とペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)が焼き芋の奪い合い。するとオープンカーに乗ったハンサムな男性が「ハーイ、マダム」と現れ、野原動物病院の場所を尋ねた。野原院長(奥村公延)の後輩・イトウ先生(団時朗)であった。留学中のアメリカから一時帰国したのだという。

セロリ「わたしゃ悔しいよ!」

ペットントン「ムニェ?」

セロリ「あんな獣医さんがいるんだったら、いっそ人間じゃなくて、犬とかネコに生まれてきたらよかったんだよー」

 セロリは動物病院に行く口実をつくるために、怪我させようとペットントンをほうきで攻撃。

 

 イトウは野原動物病院の診察室はノーグッドだと、模様替えを提案する。

イトウ「現代の動物病院はもっとゴージャスでファッショナブルでなければ!」

 診察室はピンクでファンシーに。

院長「何だか喫茶店みたいだけど、やっぱりこういうのをナウいというのかね」

イトウ「イマいっていうんですよ」

 普段は白衣のトモコ(小出綾女)は、バニーガール姿に。

トモコ「イトウ先生。トモコ、美しい?」

 イトウにキスされたトモコは気絶。それゆえイトウは畑家を訪れ、ペットントンに臨時看護婦を依頼する。

イトウ「お借りできませんでしょうか、マダム」

 セロリもトマト(東啓子)も上機嫌。

セロリ「そりゃもう喜んで。こんなのでよかったら」

トマト「こき使ってやってください」

ペットントン「ムニェー」

 怒るペットントン

 

 イトウのハンサムぶりに、町の女性たちは病院に殺到。警官(高橋等)は八つ当たり。

警官「ペットントン、何とかしなさい!」

 イトウは「ぼくってどうしてこうもてるんでしょう」と豪語。詰めかける女性たちを見ていたネギ太(高橋利安)と小百合(川口智子)は唖然。 

 

 診察室でイトウに「チャーミングだね」と言われた女子高生は嬉しげ。

院長「さあ、きみのペットは?」

女子高生「先生、これなんです」

 女子高生が取り出したのは、ホイホイにつかまった4匹のゴキブリ。ワーッとパニックになる一同。

院長「ペットントン、早く連れ出しなさい」

 つづいて入ってきた主婦らしき女性(渡辺信子)。

イトウ「まさかあなたのペットもゴキブリじゃないでしょうね」

主婦「ノミなんですけど」

 ノミ!?と、驚く一同。

主婦「ぴょこ、ぴょこ、出ておいで」

 ノミは野原院長に飛び移り、院長はかゆがる。追い出される主婦。つづいて入ってきた女性がネコに注射を打ってくれと言うと、イトウはティータイムだと言って逃げ出す。

 

 夜、イトウと野原院長、ペットントンは飲んでいた。「矢切の渡し」を唄い、上機嫌の野原院長。

 その後、はしごした屋台で野原院長は酔いつぶれる。院長がダウンすると、浮かない顔のイトウはペットントンに悩みを告白。イトウは注射を打つのが苦手で、注射器を持つと身体が震えて震度5の地震を起こしてしまうという。相談に乗ったペットントンは、友だちの輪のお告げを受ける。友だちの輪は、ペットントンを実験台に注射の練習をしろという。

 そこで早朝から練習が始まった。

ペットントン「怖い…」

 イトウは「打つぞ」と気合いを入れるが、やはり地震を起こしてしまうのだった。

 

 逃げたペットントンは公園でジャモラー(声:八代駿)に襲われて、川に転落。そのせいで、畑家へ戻ってきたペットントンは熱を出してしまう。ペットントンが風邪と聞いて、喜ぶトマトとセロリ。

トモコ「先生、ペットントンが風邪をひいたらしいんです」

イトウ「ええっ」

トモコ「先生、何もそんなに驚かなくても。注射一本打っとけばいいんですから」

トモコ「注射!」

 野原院長は往診に出ていて、結局イトウはペットントンに注射を打つことに。トマトはいそいそと、ペットントンを台車で運んでいく。

トマト「ハンサムな先生にお注射していただきましょうね」

 セロリは庭で縛りつけられていた。

セロリ「こらートマト!」

 

 イトウは薬の処方で済ませようとする。

トマト「あたし、先生の注射打つ凛々しい姿見たい」

 逃げようとするイトウは、トマトに捕まる。イトウが打とうとすると、やはりずどどどどどと地震が起き、棚が倒れる。イトウが放り投げた注射器は壁に突き刺さった。ペットントンはタイムステッキで時間を戻し、自ら注射に当たってあげた。

トモコ「最高!」

トマト「素敵!」

 「ぼくにも注射が打てたんだ!」と調子に乗ったイトウは、もう一本射とうとペットントンに襲いかかる。

【感想】

 今回はまたゲスト主体の話。前回が飛ばしているせいか、今回は割と普通な、あまりひねりのないコメディ編でひと休みの感もある。

 同時撮影の前回がネギ太など子どもたちの出番が多いのに対して、こちらはほとんど大人だけで押している(双方に出ずっぱりのペットントン=高木政人氏はすごい)。スケジュールの都合なのか、ナス夫の出番はゼロ。ガン太も一切登場せず、野原動物病院がメインの舞台であるにもかかわらず小百合もあまり出てこない。

 

 ゲストの医師・イトウ役は、『帰ってきたウルトラマン』(1971)の主演で知られる団時朗氏。十分にかっこいいけれども、既に三十路なので「美青年」と言われると違和感もある。団氏は、不思議コメディーシリーズでは『ロボット8ちゃん』(1981)や『バッテンロボ丸』(1983)、『美少女仮面ポワトリン』(1990)の第19話「涙の新兵器」に出演しており、『8ちゃん』ではセロリ役の斎藤晴彦氏とレギュラーで共演していた。最近もテレビ『相棒』(2012)や『軍師官兵衛』(2014)などコンスタントに活躍中。 

涙の新兵器

涙の新兵器

 野原動物病院に押しかける女性のひとりは、かつてWAHAHA本舗に所属した渡辺信子氏(この時点でまだ24歳。もっと上に見えるが…)。不コメでは『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989)の敵役・八宝菜院長役を好演しているほか、『美少女仮面ポワトリン』(1990)の第45話「ヤマモトは教育ママが嫌い」のゲスト出演も印象に残る。 

 野原院長役の奥村公延氏は、ノミでかゆがるシーンなど熱演。トモコ役の小出綾女氏は、バニーガールになるなど珍しくテンションが高く、久々に目立っていたが、今回が最後の登場となった。小出氏は 不コメの次々作『勝手に!カミタマン』(1985)では準レギュラーのとらばる聖子役を演じており、今回のハイテンションぶりを彷彿とさせた。

 

 飲み屋の場面で流れる小泉今日子艶姿ナミダ娘」は第28話にて小百合が唄っている。 

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