『ペットントン』研究

『ペットントン』(1983〜84)を敬愛するブログです。

第17話「洗たく大好きケンちゃん」(1984年1月29日放送 脚本:浦沢義雄 監督:坂本太郎)

【ストーリー】

 神社の障子を洗っていたペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)とヨーコ(若林一美)。ヨーコといっしょのためかペットントンは上機嫌だが、ヨーコは不機嫌。そこへ小百合(川口智子)が現れ、ペットントンは野球の代打に狩り出される。

 空き地では向かいのおじさん(木村修)とネギ太(高橋利安)、ガン太(飛高政幸)たちが野球をしていた。そこでペットントンはホームランをかっとばす。おかげで逆転勝ちだったが、そのホームランボールが、洗濯屋のケンちゃん(村松利史)の頭に当たった。

ケンちゃん「おー、ネギ太くんにガンちゃん」

ネギ太「怪我しませんでした?」

ケンちゃん「だいじょうび、だいじょうび」

 だが、ペットントンを見たケンちゃんは寝込んでしまう。お詫びにネギ太とガン太は洗濯物を配達し、ペットントンは洗濯やアイロンがけを手伝う。そこへトマト(東啓子)が様子を見に来た。

トマト「ペットントン

ペットントン「あ、トマト」

トマト「どう、しっかり働いてる?」

ペットントン「まかせなさい」

 ケンちゃんの視界では、トマトの周囲に星が輝く。

 

トマト「この度はうちのペットントンが大変なことしてしまって」

ケンちゃん「あ、はい。こんな頭、どうってことないんです。こんな頭でよかったら、バンバンぶってください」

トマト「はあ、お大事に…」

 ケンちゃんはトマトに一目惚れ。

ケンちゃん「ペットントン、おれ、ああいう人のスカート洗いたかったんだ」

 ケンちゃんはペットントンに土下座。

ケンちゃん「頼む、あの人のスカートを洗わせてくれ」

 

 ペットントンは公園で犬(声:岸野一彦)に相談していた。犬には洗わせてやれと言われる。

 ペットントンが帰宅すると、畑家ではナス夫がゴルフの練習をしていてクラブを折ってしまう。セロリには肩たたきを頼まれるが、ペットントンは頭をごつく。

 

 ペットントンは部屋を物色して、スカートを持ってきた。トマトのスカートを渡されたケンちゃんは張り切る。

ケンちゃん「よーし、洗っちゃうぞー」

 

 畑家では、トマトのスカートがみんな持ち去られてしまった。ナス夫は「何!?」と驚き、思わずセロリの頭をごつく。

 

 食卓ではセロリが「このコンニャク、よく似えてないんじゃありませんか」と文句をつける。

セロリ「ね、ナス夫?」

ナス夫「私はこのくらいで」

セロリ「ナス夫、ほれ」

ナス夫「トマト、もう少し似た方がいいよ」

 「はい!」とトマトは不満げ。

 そこへクリーニングを終えたケンちゃんは、スカートを畑家へ配達。「どうぞ!」とうやうやしく渡され、悪い気がしないトマト。

トマト「あのケンちゃんね、もしかして私のことを」

 布団にくるまったナス夫は「くだらない」と寝入ってしまう。

 ネギ太 とペットントンも自室で寝ている。

 

 翌朝の食卓では、不機嫌に納豆をかき混ぜるトマト。ナス夫に「トマト、おかわり」と言われても無視。

 

 トマトは、クリーニングをすべてケンちゃんに任せると言い出した。トマトさんは自分の思ったとおりの優しい人だったとケンちゃんは喜ぶ。ケンちゃんはペットントンに写真を見せる。

 ケンちゃん「ペットントン、見てくれ。トマトさんはおれの母ちゃんそっくりだろ」

 ケンちゃんの母(村松利史)はケンちゃんみたいな顔だった。不審げな顔のペットントン

ケンちゃん「男って自分の母親にそっくりな人を好きになるものだ。ペットントン、お前もそうだろう?」

 

 ペットントンが「ペットントンのママ、ママムニェ…」と墓地にたたずんでいると、いきなり横にジャモラー(声:八代駿)が出現。

ジャモラー「ジャモラーのママ、ママ」

 ペットントンはジャモラーに襲われるが、ヨーコに助けられる(ヨーコは「こら、ジャモラー」とジャモラーを鐘にぶつける)。

ヨーコ「え、私がペットントンのママに似てるかもしれないって?」

 「かあさんの歌」のメロディが流れる。  

 

 ケンちゃんは、川原で母ちゃんに送ってもらった品々をペットントンに見せる。ケンちゃんによると、母ちゃんはとっても優しくて子どもが大好きだという。だがケンちゃんの母の実像は、ほうきを振り回して子供を追い掛ける武闘派であった。

 

 畑家にて、ケンちゃんの母の写真を見せられたトマト。

トマト「この人のどこが私に似てるのよ、ペットントン!」

 

 ヨーコは、ペットントンのママのイラストを想像で描いてみた。描き終えてみて初めて、

ヨーコ「冗談じゃないわ。どこが私に似てるのよ!」

 

ケンちゃん「いやもうそっくりだな」

トマト「何ですって」

ケンちゃん「そういう怒ったところなんか、おれ思わずトマトさんに親孝行したくなっちゃう」

 ケンちゃんは、トマトに「母ちゃんと呼ばせてください!」と言うが、トマトは激怒。

ケンちゃん「それにしてもよく似てるなあ」

トマト「何!?もう許さない」

 トマトは「どりゃー」とケンちゃんを襲う。

 

 公園でブランコに乗ったトモコ(小出綾女)が、ペットントンと話していた。

トモコ「じゃ何?男の人にもてるには、その人のお母さんそっくりになればいいってわけね」

ペットントン「ムニュ」

 そこへヨーコがやって来る。ペットントンは「ヨーコ」と喜ぶが、

ヨーコ「あたしのどこがペットントンのママに似てるの!?」

ペットントン「ムニャ?」

ヨーコ「おしりの大きいところ? 目の垂れてるところ? どうなのペットントン!? 返事しなさい、ペットントン!」

 

 ペットントンは「ヨーコ、こわい」と腕を伸ばしてジャンプ。

ヨーコ「くやしー」

 ペットントンはスケボーに乗って逃げる。ケンちゃんも、「お待ち!」とトマトに追いかけられていた。やがて資材置き場で追いつめられたふたり。

ケンちゃん「ペットントン、どうしよう」

 材木を持ったトマトとヨーコが、「覚悟!」と迫る。そこへクレーンに吊られた袋が落ちてきた。ペットントンはタイムステッキで時間を戻し、3人を移動。小麦粉?がぶっかかったみなは粉まみれになり、笑ってしまう。

 

 夜、畑家で食卓を囲むネギ太、ナス夫、セロリ、トマト。

ネギ太「ところで父さんは、母さんがおばあちゃんにそっくりだから結婚したの?」

ナス夫「まさかあ」

 ナス夫は、セロリとトマトに「極楽トンボ、ほら!」と追及され逃げ出す。だがセロリは、足をひっかけてナス夫をこけさせて追いつめる。

 

【感想】

 前回につづき、ゲスト主体の話(今回は人間)。いかにも後先のことを考えず場当たり的に書いていったシナリオという感があり散漫ではあるが、個々のシーンをその場その場で愉しめる。こういう脈絡のない浦沢義雄シナリオを何となく淡々とつないで視聴者を引っ張ってしまうという点では、坂本太郎演出は抜きんでている。

 トマトが暴走するのは以前もあったけれども、ヨーコが怖いというのは初めてか(初登場の第2話でもヤンキーふうの格好だったが)。

 「かあさんの歌」をバックに、ヨーコとペットントンが冬枯れの寺を歩くショットや川辺のケンちゃんにつないでいくシークエンスはペーソスがただよう。シュールコメディでありつつ、こういう情感を醸すのも『ペットントン』の妙味だろう(その後、すぐにギャグ展開があるが)。童謡は、第20話にて絶大な効果を上げる。

 ケンちゃんはトマトのスカートを洗いたがっているが、第43話ではガン太が「お願い、ネギ太の海水パンツ、1度洗ってみたかったんだ」、スペシャルでは根本が小百合のスカートを「ぼくが洗っちゃおうかな…」と洗いたがっている。

 

 ケンちゃん役の村松利史氏は、最近でも『花子とアン』(2014)などに出演しており、その近影に比べて『ペットントン』ではさすがに若い。この時点での村松氏は、ナス夫役の佐渡稔氏らの在籍する東京ヴォードヴィルショーに在籍していたが、同じ画面でのふたりの共演シーンはなかった(この直後に喰始氏らとWAHAHA本舗を立ち上げて移籍)。10年後の浦沢脚本『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993)の第23話「アジサイ仮面の心」にて、村松氏は怪人・アジサイ仮面役で登場。佐渡氏も出演しており、ふたりの対決が実現している。

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 ケンちゃんの母は村松氏が二役で演じていて、肝っ玉母さんぶりには笑わされる。こういうセロリに通じるような強烈なばあさんは後年の『美少女戦麗舞パンシャーヌ』(2007)など浦沢作品に頻出しており、ご当人も元気なばあちゃんが好きと語る。セロリもケンちゃんの母も男性俳優が演じていて、どう見ても青島幸男の『いじわるばあさん』(1967〜1999)を想起させるが、浦沢先生は『いじわるばあさん』は好きではないのだという(「東映ヒーローMAX」Vol.14)。

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