第15話「大発明!ハッパバーガー」(1984年1月15日放送 脚本:浦沢義雄 監督:加藤盟)
【ストーリー】
謎の発明家・葉波博士(市川勇)が、街を徘徊していた。
葉波「ちと尋ねるが、このへんにコンピューターを使うばあさんがいると聞いたんだが」
畑家の向かいのおじさん(木村修)が、セロリ(斎藤晴彦)のことを教える。葉波がほんのお礼だと財布から出しておじさんに渡したのは、葉っぱだった。驚くおじさん。
葉波博士はセロリの部屋に忍び込むと、みかんをくすねてコンピュータを盗み出す。そして自転車にコンピュータを載せて、「そんなヒロシに騙されて」を唄いながら帰った。その横で「枯れ草、枯れ草。おいしいトントン」とペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)が食事中。
葉波博士は、自作のハッパバーガー自動販売機とコンピューターを接続していた。コンピューターは「帰りたい」と叫ぶが、葉波は一喝。原価ゼロ円の雑草を原料として、バーガーを大量生産して大儲けを企んでいるとカメラに向かって説明。そして空き地で葉っぱを拾うついでに、草むらで寝ていたペットントンを発見。
葉波「見たことのない草だ」
しかし、出来上がった葉っぱバーガーは、まずくてとても売り物にならない。葉波が苦しんでいる間にペットントンは、コンピューターに起こされる。
コンピューター「葉っぱバーガーだってよ。ぼく、笑っちゃいます」
ペットントンは、バーガーをおいしそうに食べる。
葉波「何だあの草。葉っぱバーガーを食べてる。あれはもしかして生き物?」
食いつづけるペットントン。
葉波「あの化け物をコンピュータで分析してみれば、おいしい葉っぱバーガーがつくれるかもしれん。こら、化け物!この食べ物を盗み食いするとは何事だ」
ペットントンに言いがかりをつけて、捕まえようとする葉波。ペットントンは逃げ出した。手を伸ばすペットントンを、葉波はなかなか捕まえられない。
コンピュータを盗まれたセロリは大ショック。涙をぬぐった雑巾は、搾らなければならないほどに。そして42度の熱を出した。ナス夫(佐渡稔)とトマト(東啓子)は呆気にとられる。
ナス夫「お陀仏か」
トマト「葬儀屋さんの電話番号調べといて」
ナス夫とトマトに、ネギ太(高橋利安)はコンピューターをさがしたほうがいいと言う。
ネギ太「後で何言われるか判らないから」
うまく葉波博士をまいたペットントンだが、段ボールから現れたジャモラー(声:八代駿)に襲われる。ペットントンは、葉波に助けを求め、結局葉波の企みに協力することに。
コンピュータ「おいしい葉っぱバーガーをつくるにはペットントンのエキスをまぜればいい」
葉波はペットントンを熱湯に入れ、ストーブに当てる。
ペットントン「アチ、アチ、アチ、アチ、アチ、アチチチ」
葉波「ペットントンに汗をかかせ、エキスを搾り取る」
ペットントンは悲鳴を上げる。
葉波「どうです、いいアイディアでしょ。ああはははは。ほら、出し惜しみしてないでもっと出せ」
ペットントンは雑巾のように絞られ、エキスを取られた。その結果、ぐにゃぐにゃの状態に。
葉波「これでわしは大金持ち。葉っぱバーガーチェーン店の大社長」
おいしい葉っぱバーガーが完成した。これなら絶対もうかると豪語する葉波博士。
トマトは、犬になったナス夫とコンピュータをさがしていた。
ナス夫「アオーン、アオーン、アオーン」
トマト「このうちが、コンピューターの匂いがするの?」
ナス夫「ワン」
葉波博士の隠れ家にたどり着いたふたりは、ペットントンを発見。ナス夫は一瞬で、犬から人間に戻る。
「ナス夫さん、あの男をやっつけてペットントンとコンピューターを取り返すのよ」
ナス夫は「飯喰うの忘れてた」と逃げようとするが、トマトに捕まる。
ナス夫とトマトは突入。ナス夫にバズーカを向けた葉波。ふたりは歌舞伎の『暫』をやり始め、やがて外へ逃げたナス夫を葉波は追いかける。
トマト「ペットントン、こんな姿になっちゃって」
トマトは葉っぱバーガーをペットントンに食べさせる。ペットントンは元気回復。
葉波はナス夫にバズーカを連射していた。ペットントンはタイムステッキでナス夫の危機を救い、葉波を檻に閉じ込める。結局、マイコン泥棒のかどで葉波は警官(高橋等)に捕まった。
ナス夫たちは葉っぱバーガー自動販売機を畑家へ持ち帰る。セロリは葉っぱバーガーで金儲けを思いつく。
ネギ太「わあ、おいしそう」
出てきたバーガーは、ペットントンのエキスが入っていないのでまずい。
ペットントン「ダメ、エキスムニュ」
ペットントンの制止を振り切って食べたセロリは、悶絶して叫ぶのだった。
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【感想】
ペットントンを狙う好敵手・葉波 “葉っぱバーガー” 博士が初登場。演じる市川勇氏は、『ロボット8ちゃん』(1981)や『どきんちょ!ネムリン』(1984)などのゲスト、『バッテンロボ丸』(1982)や『もりもりぼっくん』(1986)のレギュラーなど不思議コメディーシリーズに多数出演。『ロボット8ちゃん』の第28話「ねつれつ・もうれつ勉強大好き」は、浦沢義雄脚本の暴走と市川氏の怪演が相まって、とてつもない異世界が現前した…。
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『美少女仮面ポワトリン』(1990)の第6話「清く正しいバリカン婆々」でのバリカン婆役については、主演・花島優子氏も印象が強かったと後年のインタビューで回想している(DVD『美少女仮面ポワトリン』Vol.2)。他に東映制作の特撮ドラマでは、『超力戦隊オーレンジャー』(1995)の第17・18話でのシリアスな演技も素晴らしかった。
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葉波博士に持ち出されたコンピューターは、意思を持って喋り、友だちの輪のお告げのような機能を果たしている。不コメシリーズの『おもいっきり探偵団覇悪怒組』(1987)の第1話「怪人魔天郎現わる!」では、コンピューターが盗まれる展開だが、本体でなくキーボードが盗み出されていた。80年代のコンピューターについての認識がうかがい知れる。
市川氏とナス夫の佐渡稔氏とは同じ東京ヴォードヴィルショーに所属しており、『バッテンロボ丸』でも共演。今回もさすがに息が合っており、ふたりで突然歌舞伎の真似をやり始めるあたりアドリブだろうか。佐渡氏は『もりもりぼっくん』第38話にサンタクロース役でゲスト出演した際も、歌舞伎っぽい見えきりを披露していた。
後半にバズーカを撃たれる件りでは、佐渡氏の至近距離でたてつづけに爆発しており、スタントなしでの熱演には驚かされる。同じ不コメで浦沢義雄脚本『ちゅうかなぱいぱい』(1989)の第12話「レイモンドとチャーハン」などでも、出演者の至近距離で爆発が起きており、スタントマンでない俳優の演じるこういうシーンは意外と不コメシリーズにはあって、緊張感をもたらす。
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葉波の機械は、「ハッパバーガー自動販売機」と表示されている。『有言実行三姉妹シュシュトリアン』の第21話「いじけたジューサー」のイメージシーンでも同様の奇怪な自動販売機が登場していた(佐渡稔氏も出演)。
エキスを取られたペットントンはぐにゃぐにゃにされるが、次の葉波回の第34話でもペットントンは葉波に押しつぶされていた。
ナス夫が犬に変身するのは第4話以来で、今回は顔にメイクまでしてリアルに犬に扮装しての熱演(コンピューターをさがすのにどうして犬になる必要があるのかはさておき)。ラストで叫ぶセロリといい、アドリブ演技の悪乗りが目立ち、このあたりから『ペットントン』の中盤から後半にかけてレギュラー陣の愉しげな怪演がさらに増えていく。
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