第12話「超能力のクリスマス!」(1983年12月18日放送 脚本:浦沢義雄 監督:広田茂穂)
【ストーリー】
食卓でネギ太(高橋利安)はクリスマスプレゼントに天体望遠鏡を要求するが、ナス夫(佐渡稔)とトマト(東啓子)は無視。
ネギ太「おばあちゃん!」
セロリ(斉藤晴彦)は猛獣の声でネギ太を威嚇。
ネギ太「ペットントン、お前だけだ。この傷ついた少年の心を理解してくれるのは」
ガツガツ食べるナス夫たち。
ネギ太「クリスマスだっていうのになあ」
ネギ太がショーウィンドウに顔を押し当ててうらめしそうに望遠鏡を凝視していると、小百合(川口智子)に野原動物病院のクリスマスパーティーに誘われる。
ペットントン(声:丸山裕子 スーツアクター:高木政人)に自慢するネギ太だが、ペットントンも同じ招待状を持っていた。がっかりするネギ太。ペットントンははしゃぐ。
ガン太(飛高政幸)はクリスマスパーティーに誘われていなかった。
ガン太「ネギ太、行くのか!?」
ネギ太「いや、それが」
ガン太「行くんだな!」
ネギ太「う、うん…」
ガン太「おれという立派な友だちを見捨てて行くのか」
ネギ太「ガンちゃん…」
怒るガン太はネギ太を締め上げる。
ネギ太「行くよ!」
ガン太「この野郎!」
ネギ太「ぼく、ガンちゃんと違って健全な少年だもん!ぼく、小百合ちゃんのこと好きだもん」
喧嘩を止めに入ったペットントンは、そこで犬(声:向殿あさみ)と話す少女マコ(五十嵐里恵)と出会う。
マコ「そう、あなたのパパ、このへんの野良犬のボスなの?」
犬「アン」
マコ「じゃあ、あなたも立派なボスになりなさい」
犬「なれるかなあ」
マコ「なれるわよ」
友だちの輪のお告げにより、ペットントンは諍いを放置してマコのほうへ。ネギ太とガン太が喧嘩しているところへ、にこやかな小百合が都合良く現れる。
ガン太「おれのネギ太にちょっかい出すな」
小百合「そう言うと思った」
小百合はガン太にも招待状を渡す。
小百合「誘わないと、何言われるか判らないから!」
途端にガン太の機嫌が良くなる。
ガン太「ネギ太、小百合ちゃんのプレゼント何にしようか」
ネギ太「これだもんな」
ペットントンがマコのあとをついていくと、そこは神社でヨーコ(若林一美)の家だった。マコはヨーコのいとこであった。マコが動物と会話できると言っても信じない両親は、マコの嘘つきを治そうと、ヨーコの実家のお寺に預けていたのだった。
畑家ではネギ太とガン太が、パーティでどちらが小百合に花束を渡すかでまた揉めていた。うるさいと怒ったナス夫が部屋に入って来る。
ナス夫「うるさくて昼寝もできないじゃないか。さっきから聞いてれば、どっちが渡したっていいじゃないか。だいたい女に花束をやるなんて軟弱! 父さんは嫌いだ。全く最近の子どもはなっとらん。父さんの若かったころは」
セロリも入って来てナス夫を殴り倒す。
セロリ「お前がいちばんうるさいんだよ!」
出て行くセロリ。
ガン太「お前んち、過激だな」
ペットントンはマコと歩いていた。
マコ「どうして信じてくれないんだろう、私が動物語話せるってこと」
ペットントンは、マコにクリスマスの予定を訊く。
マコ「嘘つき少女なんて、誰も呼んでくれないわよ。あのお寺でひとり淋しくクリスマスなんて冴えないわね」
そこでペットントンは、マコを野原動物病院のクリスマスパーティーに誘うことに。野原院長(奥村公延)とトモコ(小出綾女)は動物園のパーティに行って不在で、動物病院は子どもたちだけだった。
公園でジャモラー(声:八代駿)が襲来。「おいしい、おいしい」とペットントンの髪の毛に食いつくが、ペットントンは反撃し池に投げ込む。
ペットントンはマコを誘う。ヨーコは街でボーイフレンドと過ごすのだという。「ムニェ」とこけるペットントン。
ヨーコ「どうしたの?」
ナス夫とトマトは、ネギ太に贈る双眼鏡を選んでいた。
ナス夫「どうせ子どもが使うんだから」
トマト「でもね、一応クリスマスプレゼントなんだから」
だがナス夫は「いいのいいの」と言って、「いちばん安いの」を購入。
トマト「けち」
セロリはケーキ屋で、ケーキが高すぎると文句をつけていた。ケーキ屋の主人に「買わなきゃいいんだよ」と言われたセロリは怒って絶叫。
セロリ「暴力ケーキ屋さんでございますよ、みなさん!暴力ケーキ屋さんでございますよ!」
慌てた主人。
主人「わかりましたよ、おばあちゃん、お安くさせていただきますよ」
セロリ「やっぱり親切ケーキ屋さんでございました」
主人「ただでもいいですよ」
セロリ「大胆!」
子どもたちだけのパーティで、ネギ太に「食べろよ」「飲めよ」と薦めるガン太。
ネギ太「だいたいガンちゃん、普通じゃないよ」
ぐいぐい飲むペットントン。
ネギ太「どういう教育されてんの」
ガン太「お前、パパやママの悪口言うとおれが許さないからな」
ガン太「宇宙生物はあっち行け!」
マコによると、入院していた子ネコは母ネコとクリスマスをやりたがっているという。みなが踊っている隙に、マコは子ネコを連れ出した。走ったマコは子ネコを放り投げてしまい車にひかれそうになるが、ペットントンはタイムステッキで時間を戻して救った。
話を聞いた小百合。
小百合「わかったわ、ペットントン。後のことは全部、私が責任とるから」
喜んだペットントンは膨らんで浮かび上がる。
公園でマコは落ち込んでいた。
マコ「どうして私ってこうダメな女の子なんだろう」
やってきたペットントンはマコを連れて空を飛びマコの寺へ。小百合とネギ太、ガン太が動物を寺へ連れてきていた。ヨーコもいて、「あなたは嘘つき少女じゃないわ」と謝罪する。
畑家では、ナス夫たちが待ちくたびれ、ケーキを先に食べてしまっていた。
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【感想】
今回はクリスマス編。他の浦沢義雄脚本の不思議コメディーシリーズでは、映画『冷たい熱帯魚』(2009)などで知られるでんでん氏がゲストのサンタクロース役を怪演した『どきんちょ!ネムリン』(1984)、サンタの恋が面白い『勝手に!カミタマン』(1985)、ナス夫の佐渡稔氏がサンタ役で登場した『もりもりぼっくん』(1986)、クリスマスに別れる主人公たちを描いた『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989)の最終話「別れのクリスマス」、ラストバトルの直前で盛り上がる『美少女仮面ポワトリン』(1990)などでクリスマスが描かれた。また浦沢氏でなく山崎晴哉脚本だが『ロボット8ちゃん』(1981)の最終話でもクリスマスが印象的に扱われている。それら諸作に比して今回は割と大人しめの内容だが、いろいろと小ねたが印象に残る。
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第11話と同じくネギ太とガン太の応酬がかなり前面に出てきており、今回はそれに小百合も加わってかなり面白い。もっともセロリやナス夫にも出番があり、見せ場の配分という意味では作り手の手腕をさりげなく感じさせる。
昼間から酔っぱらったペットントンは、半目状態。第9話のように膨らむシーンがじっくり描かれ、実に気持ち悪い。
次の第13話が1983年最後の放送で、本格的に子どもたちがメインとなっていき、いつのまにかヨーコやトモコは消滅。この第12話がひと区切りで、第2期が始まったという感がある。
本当は天体望遠鏡が欲しいけれども双眼鏡で我慢するというエピソードは、浦沢脚本の『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993)の第1話「涙の妖怪ザ・お正月」でも使われている。
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ペットントン役の高木政人氏の奮闘により、今回はペットントンが石段を登る姿が見られる。
マコ役の五十嵐里恵氏は『ロボット8ちゃん』にレギュラーで出演していて、今回はちょっと大人っぽい雰囲気になっている。
余談だが、超能力を持った女子高生(岡田有希子)が主人公の『禁じられたマリコ』(1985)には第8回「クリスマスが見えない!」という話があり、『ペットントン』とは時期も近いので思わず連想してしまった。
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